女性のQOL(生活の質)を著しく下げるPMS対策は重要!
PMS(生理前症候群)の対策で、新しい選択肢が登場しています。
今回は、これまでの日本でのPMS対策、日本で処方してもらえるピルの種類、どんな効果があるのか、どんな副作用があるのか、長期服用によるリスクはあるのか、どこで入手できるのかなどについてまとめました。
情報は2023年現在のものです。
特に40代前後の方におすすめのミニピルについては詳しく説明します。
PMS(生理前症候群)とは
まずPMSについてかんたんに触れようと思います。
PMSは体や心に多様な症状が出る
PMSとは、月経が始まる3~10日ほど前から、身体やこころに様々な不快症状が起こる病気・障害です。
私の場合、毎月2週間ほどPMSの症状に悩まされています。
体に対しては、痛みや動悸、吐き気などの不快症状が出ることがあります。
✔️ PMSで体に出る症状
・ 下腹部、頭、腰、胸などが痛い
・ 突然胸がドキドキする
・ 吐き気がする
・ めまいがする
✔️ PMSでこころに出る症状
・ イライラする
・ ボーッとする
・ 集中できなくなる
・ 家事や仕事がはかどらない
・ 昼間に眠くなる
・ 夜間眠っても眠った気がしない
・ 涙もろくなる
PMSの症状が主にこころに関するものである場合の問題点
PMSのこころに関する症状が出ているときは、仕事量をセーブしたり、よく休憩を取ったり、漢方を服用したりするなどの対策が必要になります。
PMSに気が付かず、対策を取らないでいると、仕事仲間、友人、家族との関係に大きな影響が出ます。
体の症状がなく、こころの症状が出ていることに気が付きにくい方は、特に注意が必要です。
痛みなどの体の症状がないと、PMSに気がつかず、大失敗することも。
PMSの原因は明確には分かっていない
PMSの原因ははっきりとは分かっていませんが、ホルモンバランスの変化が関係していると考えられています。
特に、月経の代表的な女性ホルモンの1つである、プロゲステロンが増えるタイミングで、不快な症状があらわれます。
PMSの日本や欧米での一般的な対策
日本でのPMSの対策は、食事療法や運動療法、生活指導、漢方などが一般的です。
✔️ これまでの日本での一般的なPMS対策
◎ 食生活の見直し
・ スイーツ、カフェイン、飲酒を控える
・ ミネラル、タンパク質を摂取
◎ 体を動かす
・ 軽い運動、ストレッチ
◎ ストレスを減らす
・ 無理しない、入浴、音楽、家族との会話
◎ 漢方を服用
・ 命の母ホワイトなど
◎ ピルを服用(休薬期間のあるもの)
・ 主に体の症状がある時のみ医師が処方
重篤な場合はピルの処方がなされます。
一方、欧米では、ピルやミニピルを処方箋なしで薬局で買うことができますので、最初の選択肢となっています。
✔️ 海外での一般的なPMS対策
◎ ピル(休薬期間のないもの)
◎ ミニピル(休薬期間のないもの)
日本でこの選択肢を取ることができない状況が長らく続いてきたのは、ひとえに厚生労働省の怠慢、そして女性を尊重しない姿勢の問題だと言われています。
ピルに休薬期間があったのは妊娠していないことを確認するため
ちなみに、休薬期間のない(つまり連続投与の)ピルは、日本ではあまり見かけませんが、欧米では伝統的に服用されていて、大きな問題は起こっていません。
参考図書:お医者さんは教えてくれない妊娠・出産の常識 ウソ・ホント(Amazon)
休薬期間がないと、月経や不正出血は次第になくなり、PMS改善効果も高まります。
日本でも最近、休薬期間のないジェミーナ、ヤーズフレックスなどのピルやジエノゲストなどのミニピルを処方してくれる婦人科が増えてきました。
今まで休薬期間のあるピルばかりが処方されてきた1番の理由としては、ピルが避妊薬としての役割をになっていたことが挙げられます。
休薬期間に出血があれば、妊娠していないことが確認できますが、休薬期間に具合が悪くなる人も。
ピルの分類・種類
では、これからピルの種類について、かんたんに説明します。
ピルにはいくつかの分類がある
ピルは、エストロゲン、プロゲステロンの2種類の女性ホルモンが含まれる経口避妊薬です。
ピルには、さまざまな種類や分類がありますが、ここでは主に以下の観点で説明します。
✔️ ピルの代表的な分類方法
・ エストロゲンの量による分類
・ 世代による分類
エストロゲンの含まれる量によるピルの分類
出典:Wikipedia(エチニルエストラジオール)
エストロゲンは卵胞ホルモンとも呼ばれ、女性の生殖機能や月経周期に関係しています。
エストロゲンの量が多いほど、避妊や不快な症状の低減効果が高くなりますが、血栓症などの副作用のリスクも高まります。
ピルは、1錠あたりのエストロゲンの量によって、以下の4種類に分類されています。
✔️ エストロゲンの量によるピルの分類
・ 中用量ピル(50μg以上)
・ 低用量ピル(50μg〜30μg)
・ 超低用量ピル(30μg以下)
・ ミニピル(0μg)
※このエストロゲンの量には、諸説あります。
中用量ピルは副作用のリスクが高いため、現在あまり処方されていません。
低用量ピルは、さらに、プロゲステロンの調合される量によって単相性ピル、ニ相性ピル、三相性ピルに分けられます。
超低用量ピルは、単相性ピルと三相性ピルに分けられます。
二相性、三相性のピルは、日によって飲むべき錠剤が変わっていきます。
ミニピルは、エストロゲンを含まない、プロゲステロンのみの単相性の錠剤で、副作用が心配な人に適しています。
世代の違いによるピルの分類
ピルは、開発された時期やプロゲステロンの種類によって、4つの世代に分けられます。
世代が新しいほど、副作用が出にくく、症状改善効果が高くなりますが、価格も高くなります。
✔️ 世代の違いによるピルの分類
・ 第1世代(1960年代・中用量ピル)
・ 第2世代(1970年代・低用量ピル)
・ 第3世代(1980年代・30μg以下)
・ 第4世代(2000年代・超低用量ピル)
※年代やエストロゲンの量には諸説あります。
前述のとおり、中用量のピルは現在あまり処方されていません。
第3世代は、30μg以下の超低用量ピルで、血栓症のリスクが低く抑えられていますが、ニキビや体重増加などの副作用が出やすいとされています。
しかし、第3世代は現在でも広く使用されています。
第4世代は、20μg以下の超低用量ピルで、ドロスピレノンやジェストデノンなどの新しいプロゲステロンが含有されていて、価格は高めですが、副作用が出にくいとされています。
第4世代は高いけど、現在、最も人気があります。
ミニピルとは
さて、ここで、プロゲステロンのみが含まれ、エストロゲンの含まれていないミニピルについて詳しく触れたいと思います。
ピルについての分かりやすい動画
まず、ピルやミニピルについて、分かりやすく説明された動画をご紹介します。
最後の方に、ミニピルに関する説明があります。
私がミニピルの存在を知るきっかけになった動画です。
世代の違いによるミニピルの分類
ミニピルは、開発された時期やプロゲステロンの種類によって、4つの世代に分けられます。
✔️ 世代別ミニピルの代表的な商品名
・ 第1世代:ノリディ、マイクロノア、ノアルテン
・ 第2世代:マイクロバル、ノルゲストン
・ 第3世代:セラゼッタ
・ 第4世代:ディナゲスト
これらの世代間の違いは、アンドロゲン作用の強さにあります。
アンドロゲン作用が強いと、ニキビや多毛、体重増加、食欲増進などの副作用が起こりやすくなります。
一般的に、世代が進むにつれて、この副作用は弱くなる傾向にあると言われています。
また、動画によると、現在処方してもらうことができる高性能なミニピルは、ディナゲスト(一般名ジエノゲスト)がメインとなっているようです。
私も第4世代のミニピルであるジエノゲストを服用しています。
ミニピルのメリット
ミニピルには、低用量ピルや超低用量ピルとは異なる特徴やメリットがあります。
✔️ ミニピルのメリット
・ 血栓症リスクがほとんどない
・ 処方を受けられる人の範囲が広い
・ 月経を止めることができる
ミニピルの最大のメリットは血栓症リスクがほとんどないこと
ミニピルの最大のメリットは、ピルと比べて血栓症のリスクがほとんどないということです。
血栓症は、心筋梗塞や脳梗塞などの重大な合併症を引き起こす可能性があります。
しかし、ミニピルには血栓症の原因となるエストロゲンが含まれていないため、血栓症のリスクが低いと言われています。
ピルを服用できない方もミニピルは服用できる可能性がある
そのため、これまで低用量ピルや超低用量ピルを服用できなかった方でも、ミニピルは医師に相談しながら服用することができます。
✔️ ピルは不可・ミニピルは可となる例
・ 喫煙者
・ 40歳以上の方
・ 肥満症の方
・ 動脈硬化のリスクが高い方
(高血圧や高コレステロールなど)
・ 前兆がある片頭痛もちの方
今はまだ、ピルを処方してもらえる健康な40歳未満の方であっても、後でミニピルにスイッチせねばならない可能性を考えると、ミニピルを最初から選んだ方がいいかもしれません。
途中で変更するのは、色々としんどいです。
ミニピルは月経を完全に止めることができる可能性がある
ミニピルは休薬期間がなく、毎日飲み続けることで、月経が完全に止まることがあります。
休薬期間のないピルでも同じメリットが得られます。
月経が来ないことで、PMSや月経のわずらわしさから解放されることも、大きなメリットの一つです。
ミニピルのデメリット
ミニピルには、ピルと比べた時、メリットだけでなく、デメリットもあります。
✔️ ミニピルのデメリット
・ ピルと比べ肌荒れやニキビを抑えにくい
・ ピルと比べ不正出血が起こりやすい
・ 毎日同じ時間に服用する必要がある
ミニピルにはエストロゲンが含まれていないため、肌荒れやニキビを抑える作用が弱いと言われています。
ミニピルを服用し始めると、最初は不正出血がよく起こります。
また、ミニピルは、成分の血中濃度を一定に保つために、毎日決まった時間に飲む必要があります。
ただ、私の場合、飲み忘れが多少あっても、PMSの低減効果は維持されています。
ピルやミニピルの入手方法
日本の一般的な産婦人科では、勉強不足であったり、新しく日本で認められた治療をすぐに採用するリスクを取りたがらなかったりする医師が多くいます。
いまだに、こころの不調のみの人には、保険適用でピルが処方してもらえなかったり、年齢や体質上のリスクのある患者にそもそもミニピルが処方してもらえなかったりしています。
ピルの処方に力を入れるDMMオンライン診療でも、40歳オーバーの人にはミニピルを処方しません。
ミニピルを入手するには、以下のような方法があります。
✔️ ミニピルを入手する方法の例
・ オンライン診療で処方してもらう
・ 婦人科や産婦人科で処方してもらう
・ 個人輸入
詳しく見ていきましょう。
オンライン診療によりミニピルを処方してもらう
ネット上で一番よく目にするのが、オンライン診療によってピルやミニピルを処方してもらう方法です。
オンライン診療のメリットはその手軽さにあります。
✔️ オンライン診療のメリット
・ どこでも手軽に診療と処方とが得られる
一方、ピルやミニピルによるPMSの治療は、長期間に及ぶことが想定されるため、オンライン診療のデメリットもいくつか考えられます。
✔️ オンライン診療のデメリットやリスク
・ たまに対面診療に切り替える必要がある
・ コミュニケーションが不足する
・ 婦人科の専門医師でないことがある
女性は定期的に婦人科系の様々な検診を受ける必要があり、1つのクリニックで完結した方が情報共有されやすい側面があります。
また、体調の変化があった時に、直接体を見てもらうため、対面診療に切り替える必要が出てくることがあります。
いちばん怖いのは、医師の専門知識が不足していたり、コミュニケーションが足りなかったりして、不調の兆しが見逃される可能性があることです。
私が調べたところ、皮膚科のAGA専門の医師が、PMSのオンライン診療をしているケースもありました。
婦人科・産婦人科で処方してもらう
では、対面診療はどうでしょうか。
日本ではまだ、休薬期間のないピルやミニピルを処方するクリニックは多くありません。
✔️ クリニックを探す時のポイント
・ 予約前にピルやミニピルが処方可能か確認
・ 高度な医療を提供する婦人科を探す
ウェブサイト上でPMS対策の診療をしていることを謳っているクリニックでも、ピルやミニピルを処方してくれないことが多々あります。
いちばん確実なのは、通える範囲の婦人科・産婦人科に、PMS対策でピルやティナゲストなどのミニピルを処方しているかどうか、自分の年齢でも処方してもらえるか、手当たり次第電話で聞いてみる方法です。
普段通えない場所にあるクリニックでも、オンライン診療をしているところであれば安心です。
私の印象では、不妊治療に積極的な婦人科には勉強熱心な医師が多く、ミニピルも扱っていました。
ミニピルを個人輸入する
海外のオンラインショップからミニピルを購入することもできます。
しかし、個人輸入にはリスクがあります。
例えば、偽物や劣化した薬を送られる可能性があることや、輸入に関する法律や手続きを守らなければならないことなどです。
個人輸入をする場合は、信頼できるサイトを選び、自己責任で行うようにしましょう。
ピルやミニピルは多くても90日分の処方となる
ピルやミニピルの入手方法の説明は以上です。
一回に処方してもらえる分量には制約がありますから、3ヶ月に1回は通える距離であれば、、、と日常をイメージしながら医療機関をえらぶことが肝心です。
ジエノゲストを服用した私の体験談
私は、PMSの症状で悩んでいました。
毎月、生理前になるとイライラしたり、気分が落ち込んだり、時々頭痛がひどくなったりして、仕事や家事に支障が出ていました。
私の場合、休薬期間のあるピルでは、これらの症状を防ぎきれませんでした。
そこで、なんとか探し出した婦人科医に、ジエノゲストを処方してもらいました。
ジエノゲストとは
ジエノゲストは、先発品であるディナゲストの一般名であり、ジェネリックを含みます。
私は持田製薬のジェネリックを服用しています。
薬剤師の間でもモチダのジエノゲストの評判はまずまずとのこと。
ジエノゲストの日本における開発経緯
ジエノゲストの日本における開発は持田製薬によって始まりました。
ディナゲスト錠0.5mgの有効成分であるジエノゲストは、イエナファーム社(現Bayer AG社のグループ会社)にて合成された新規の19-ノルテストステロン誘導体であり、第4世代プロゲスチンに分類されています。(略)2020年1月に「月経困難症」の効能又は効果で製造販売承認を取得しました。
出典:持田製薬ウェブサイト
日本で安心して服用できるミニピルが出てきたのは、本当に最近のことです。
ジエノゲストを服用し始めると、いったんPMS症状が強くなった
医師の指示に従って、1日2回、朝食後と夕食後にジエノゲストを服用し始め、半年以上が経ちました。
ジエノゲストは、副作用が少ないとされていますが、私は服用当初に胸の張りや、気分的な違和感、軽い抑うつ症状などを経験しました。
ミニピルの治療をするときは、あらかじめ周囲の信頼できる人たちに説明しておくといいかもしれません。
胸の張りや抑うつ症状は、1ヶ月程度続きました。
医師に相談したところ、ジエノゲストを中止する必要はないと言われましたが、悪化したら相談するようにアドバイスされました。
服用を続けるうちに、これらの症状は徐々に改善され、PMS症状は完全におさまりました。
不正出血はしばらく断続的に続いた
医師からは、不正出血は、ジエノゲストを服用する患者のほとんどで、すぐに治ると説明されました。
しかし、私の場合は3ヶ月以上断続的に発生し、その後おさまっていきました。
ジエノゲストの長期服用について
ジエノゲストを長期服用することで、少しずつ骨密度が低下する懸念があります。
ジエノゲストは、卵巣機能を抑制することで、エストロゲンの分泌を減らします。
エストロゲンは、骨の代謝に重要な役割を果たしているので、エストロゲンが減ると、骨密度が低下する人もいると海外で報告されています。
エクオールのサプリを接種しておくと安心です。
まとめ
私は、ジエノゲストを服用してから、PMSの症状が改善されて以前とはくらべものにならないほど快適な生活を送ることができるようになりました。
ピルやミニピルの服用は、女性の健康と生活の質を向上させるための有効な手段だと感じています。
しかし、便利な薬であっても副作用や長期服用によるリスクがあります。
ピルやミニピルによる治療を始めるときは、きちんとした医師の指示のもと服用し、自分の体調や変化に注意しましょう。
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