不動産登記の見方

不動産利用権に関する登記とその変動

不動産登記の見方

不動産利用権は登記すると長い付き合いとなる

不動産登記には、表題部と権利部にわかれ、権利部には所有権に関する情報が登記される甲区と、所有権以外に関する情報が登記される乙区とがあります。

今回は、乙区についてくわしく見ていきます。

不動産登記に関して参考とした書籍

不動産登記の本はたくさん出版されていますが、いずれも同じような内容となっていて、選ぶのに苦労された方もいらっしゃると思います。

このブログでは、以下の著書の流れに沿って説明していきます。


不動産登記Q&A(Amazon)

Lucky
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わかりやすく解説されていておすすめです。

賃借権・地上権の登記

前回の所有権に関する登記に続いて、乙区の賃借権・地上権の登記について説明していきます。

乙区に登記される債権、用益物権、担保物権

出典:法務省 土地の全部事項証明書(不動産登記)の見本 抜粋・加工

乙区に登記される権利には、債権、用益物権、担保物権があります。

✔ 乙区に登記される債権
・ 賃借権
✔ 乙区に登記される用益物権
・ 地上権
・ 地役権
・ 永小作権
・ 採石権
・ 配偶者居住権(平成30年相続法改正により新設)
✔ 乙区に登記される担保物件
・ 抵当権
・ 根抵当権
・ 先取特権
・ 質権

これらの権利のなかでは、抵当権と根抵当権の登記件数が圧倒的に多く登記されています。

乙区に登記される担保物権の件数

抵当権や根抵当権は、借りているお金を返したら抹消することができます。

以下、令和4年における抵当権や根抵当権などの担保物権の登記件数の比較をしてみました。

令和4年担保物権 件数 比率
抵当権の設定 666,210 84.18%
根抵当権の設定 124,886 15.78%
先取特権の保存 15 0.002%
質権の設定又は転質 314 0.04%
合計 791,425 100%

出典:e-Stat 政府統計総合窓口(以下同様)

賃借権と地上権はともに、第三者に土地を借りて利用する権利のことで、いったん登記されると登記名義人の同意がなければなかなか抹消できず、不動産の利用や売却にあたっては注意が必要となります。

令和4年における賃借権や地上権などの債権、用益物権の登記件数は以下のとおりです。

区分 件数 比率(%)
賃借権設定又は賃借物転貸 4,038 14.92%
地上権の設定 6,178 22.83%
地役権の設定 16,840 60.24%
永小作権の設定 2 0.007%
採石権の設定 3 0.01%
配偶者居住権 892 3.19%
合計 27,953 100%

賃借権、地上権、地役権は一定の登記件数がありますが、永小作権や採石権、配偶者居住権についてはあまり利用されていないことがわかります。

賃借権

賃借権とは、賃貸借契約にもとづいて土地を借りた賃借人が、土地を使用できる債権のことで、賃借人には賃料の支払い義務があります。

地上権

地上権とは、第三者の所有する土地において工作物または竹林を所有するために、土地を使用する事が出来る物権のことです。

地役権

地役権とは、一定の目的の範囲内で、他人の土地(承役地)を自分の土地(要役地)のために利用する物権のことをいいます。 

不動産登記Q&Aにおいては、これらの権利を不動産利用権とよんでいます。

Lucky
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本ブログでも不動産利用権とよぶことにします。

物権と債権は、支配できるか請求できるに過ぎないかの違いがある

財産を支配する権利には、「債権」と「物権」の2つの類型があります。

債権

債権とは、ある特定の人が他の特定の人に対して、ある特定の行為をすることや特定の行為をしないことを請求しうる権利をいい、第三者には権利を主張できない相対的な請求権です。

Lucky
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契約の相手方以外には請求できません。

賃借権などの債権は、賃貸人の承諾がなければ譲渡できません。

また、賃貸人である土地所有者は、賃借権の登記申請に協力する義務がありません。

物権

物権とは、物を直接的かつ排他的に支配する権利をいい、すべての人に対して権利を主張できる絶対的な財産支配権で、その典型は所有権です。

所有権や地上権などの物権は自由に譲渡できます。

また、民法177条で、物権というのは登記をしなければ第三者に対抗できないとさだめられていますので、地上権設定者である土地所有者は、地上権設定の登記申請に協力する義務があります。

(不動産に関する物権の変動の対抗要件)
第177条 不動産に関する物権の得喪及び変更は、不動産登記法(平成十六年法律第百二十三号)その他の登記に関する法律の定めるところに従いその登記をしなければ、第三者に対抗することができない。

出典:民法177条

ただし、登記をしなくても罰則などはありません。

賃借権の登記事項

賃借権とは、賃料を支払って借りた物を使用することができる権利で、土地を借りることを借地、建物を借りることを借家とよびます。

賃借権の登記事項は不動産登記法に定められています。

(賃借権の登記等の登記事項)
第81条 賃借権の登記又は賃借物の転貸の登記の登記事項は、第五十九条各号に掲げるもののほか、次のとおりとする。
 賃料
 存続期間又は賃料の支払時期の定めがあるときは、その定め
 賃借権の譲渡又は賃借物の転貸を許す旨の定めがあるときは、その定め
 敷金があるときは、その旨
 賃貸人が財産の処分につき行為能力の制限を受けた者又は財産の処分の権限を有しない者であるときは、その旨
 土地の賃借権設定の目的が建物の所有であるときは、その旨
 前号に規定する場合において建物が借地借家法第二十三条第一項又は第二項に規定する建物であるときは、その旨
 借地借家法第二十二条第一項前段、第二十三条第一項、第三十八条第一項前段若しくは第三十九条第一項、高齢者の居住の安定確保に関する法律(平成十三年法律第二十六号)第五十二条第一項又は大規模な災害の被災地における借地借家に関する特別措置法第七条第一項の定めがあるときは、その定め

出典;不動産登記法81条

賃借権登記が少ない原因は複数ある

世の中に借地や借家がたくさんあるわりに、賃借権の登記件数が少ない理由はいくつか考えられます。

✔️ 賃借権の登記件数が少ない理由
・ 賃貸人の登記申請への協力が得られない
・ 賃借権を登記できない
・ 建物の登記や引渡しによる対抗要件具備

賃貸人の協力が得られないことについてはすでに触れましたので、のこりの2つについて説明します。

賃借権が登記できない借家がある

区分建物として登記されていないアパートやオフィスビルの一部を借りるときは、賃借権の登記ができません。

賃借権の対抗力の拡充

賃貸人から登記申請への協力が得られないことへの対応策として、借地借家法によって賃借権の対抗力が拡充されています。

(借地権の対抗力)
第10条 借地権は、その登記がなくても、土地の上に借地権者が登記されている建物を所有するときは、これをもって第三者に対抗することができる。

出典:借地借家法10条1項(2項は省略)

(建物賃貸借の対抗力)
第31条 建物の賃貸借は、その登記がなくても、建物の引渡しがあったときは、その後その建物について物権を取得した者に対し、その効力を生ずる。

出典:借地借家法31条

Lucky
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無理して賃借権の登記をしなくても権利が守られます。

比較的あたらしい賃借権の形態である定期借地権

ただし、定期借地や定期借家の制度が導入され、スーパーの出店や定期借地権マンションなどに活用されるようになってきました。

借地権は賃借権と地上権をあわせたもの

土地の利用権には大まかに以下のようなものがあります。

✔ 土地の利用権の分類
・ 土地を無償で借りる使用貸借権
・ 建物を建てる以外の目的で借りる賃借権
・ 建物を建てる目的で借りる賃借権
・ 建物を建てる目的で設定する地上権
・ 建物を建てる以外の目的で設定する地上権

このうち、3番めの建物を建てる目的で借りる賃借権と、4番目の建物を建てる目的で設定する地上権とは、両方あわせて借地借家法において「借地権」とされています。

借地権は、平成4年8月1日から施行された借地借家法が適用されるか否かで分けられます。

✔ 借地権の存在時点による分類
・ 平成4年7月31日以前に契約締結(旧法適用)
・ 平成4年8月1日以降に契約締結(新法適用)

旧法時代に契約が締結された借地権は、契約が更新されても旧法が適用されます。

新法の借地権には3つの分類があります。

✔ 新法の借地権の分類
・ 普通借地権(定期ではなく更新可)
・ 定期借地権(更新されない)
・ 一時使用目的の借地権

一時使用目的の借地権は工事現場事務所や選挙事務所、イベント用建物などのために一時使用するためのものです。

また、定期借地権には以下3つの分類があります。

✔ 定期借地権の分類
・ 一般定期借地権(50年以上)
・ 建物譲渡特約付借地権(30年以上経過後地主に建物譲渡)
・ 事業用定期借地権(事業用建物を建てることを目的)

地上権は長期の安定的な土地使用のために設定される

地上権は民法に定められた権利です。

地上権設定登記

地上権は、長い期間を要する竹木の植林から伐採までや、長期間利用するトンネルや橋などの工作物を保有するために設定されます。

(地上権の内容)
第265条 地上権者は、他人の土地において工作物又は竹木を所有するため、その土地を使用する権利を有する。

出典:民法265条

建物を建てる目的で設定されるケースはあまり見かけません。

登記事項は不動産登記法に以下のとおり定められています。

(地上権の登記の登記事項)
第78条 地上権の登記の登記事項は、第五十九条各号に掲げるもののほか、次のとおりとする。
 地上権設定の目的
 地代又はその支払時期の定めがあるときは、その定め
 存続期間又は借地借家法(平成三年法律第九十号)第二十二条第一項前段若しくは第二十三条第一項若しくは大規模な災害の被災地における借地借家に関する特別措置法(平成二十五年法律第六十一号)第七条第一項の定めがあるときは、その定め
 地上権設定の目的が借地借家法第二十三条第一項又は第二項に規定する建物の所有であるときは、その旨

出典:不動産登記法78条(1項1〜4号)

区分地上権設定登記

区分地上権とは、他人の土地の地下や空間の一部等範囲を限定して工作物を所有するために設定された地上権のことです。

(地下又は空間を目的とする地上権)
第269条の2 地下又は空間は、工作物を所有するため、上下の範囲を定めて地上権の目的とすることができる。この場合においては、設定行為で、地上権の行使のためにその土地の使用に制限を加えることができる。
 前項の地上権は、第三者がその土地の使用又は収益をする権利を有する場合においても、その権利又はこれを目的とする権利を有するすべての者の承諾があるときは、設定することができる。この場合において、土地の使用又は収益をする権利を有する者は、その地上権の行使を妨げることができない。

出典:民法269条の2

区分地上権は2項にあるとおり、すでに他の地上権などの利用権が設定されている土地でも、その利用権者の承諾が得られれば、範囲が重複しないかぎり設定できます。

登記事項は不動産登記法に以下のとおり定められています。

第78条
 民法第二百六十九条の二第一項前段に規定する地上権の設定にあっては、その目的である地下又は空間の上下の範囲及び同項後段の定めがあるときはその定め

出典:不動産登記法78条1項5号

区分地上権設定登記では、空間上下の範囲とともに、特約があるならばその内容を記録します。

法定地上権

もうひとつ、特殊な地上権として、法定地上権というものがあります。

法定地上権とは、抵当権や競売の実行によって土地所有者と建物所有者が異なる人になった場合に、民法などの規定により自動的に発生する地上権のことです。

これは、建物が未登記でも成立するので、土地に競売の履歴があって現地実査で未登記建物があった場合は注意が必要です。

定期借地・定期借家の登記

旧法による借地権では、地主サイドに正当事由がなければ契約を終了させることができませんでした。

地主が土地を貸すことを回避したり、貸すときに高額な権利金を要求したりして土地利用が進まないことへの対策として、法改正により、契約を更新しない等の特約をつけた定期借地権が生まれました。

定期借地権は期間を更新せず建物買取請求もしない特約付き

定期借地権の特約は以下の内容となります。

✔ 定期借地権の特約
・ 契約の更新をしない
・ 存続期間の延長をしない
・ 建物の買取請求をしない

これらの特約は、契約書に明記する必要があります。

(定期借地権)
第22条 存続期間を五十年以上として借地権を設定する場合においては、第九条及び第十六条の規定にかかわらず、契約の更新(更新の請求及び土地の使用の継続によるものを含む。次条第一項において同じ。)及び建物の築造による存続期間の延長がなく、並びに第十三条の規定による買取りの請求をしないこととする旨を定めることができる。この場合においては、その特約は、公正証書による等書面によってしなければならない。

出典:借地借家法22条1項(2項は省略)

定期借地権3種類の比較

出典:国土交通省 定期借地権の解説

定期借地権には一般定期借地権、事業用定期借地権、建物譲渡特約付借地権の3種類があります。

登記される定期借地権のほとんどは事業用定期借地権であり、一般定期借地権は少なく、建物譲渡特約付借地権はほとんど見られません。

一般定期借地権は分譲マンションや賃貸住宅に使われる

一般定期借地権とは、契約期間を50年以上とする、特に建物用途の制限がない借地権です。

✔ 一般定期借地権の活用例
・ 住宅(自用・賃貸用)
・ 分譲マンション
・ 商業施設
・ オフィスビル
・ 公共用建物

建物譲渡特約付借地権は締結時に特約する必要あり

建物譲渡特約付借地権とは、借地権設定後30年以上経過した日に、地主が借地人から借地上の建物を買取ることを特約した借地権のことです。

借地権契約締結のときに特約することで、建物譲渡特約付借地権として認められ、特約は付記登記で記録されます。

地主が建物を取得すると土地建物が同じ所有者となるため、借地権は消滅します。

事業用定期借地権は居住用物権では利用できない

事業用定期借地権とは、10年以上50年未満の期間で、専ら事業の用に供する建物の所有を目的とする借地権のことです。

平成20年1月の法改正により、10年以上20年以下だったものが、10年以上30年未満と、30年以上50年未満の2区分となりました。

マーケットの環境変化が大きい商業施設などで、長期の借地期間を必要とせず、権利金を払わないで土地を利用したいときに、活用されます。

定期借家は比較的最近の法改正により誕生

定期借家とは、契約の更新がなく、契約期間が終了した時点で確定的に契約が終了し、確実に明け渡しを受けることができるものです。

普通借家では、大家サイドに正当事由がなければ契約更新を拒絶することができませんでした。

そこで、特別措置法が平成11年12月9日に成立し、借地借家法が改正され、定期借家制度が平成12年3月1日に施行されました。

(定期建物賃貸借)
第38条 期間の定めがある建物の賃貸借をする場合においては、公正証書による等書面によって契約をするときに限り、第三十条の規定にかかわらず、契約の更新がないこととする旨を定めることができる。この場合には、第二十九条第一項の規定を適用しない。

出典:借地借家法38条1項(2〜9項は省略)

定期借家は普通借家と比べて家賃が安く、居住用物件よりも事業用物件での活用がされています。

その他の利用権の登記

不動産利用権の中では、地役権も多くの件数が登記されています。

地役権を中心に、その他の利用権についても見ていきます。

地役権は承役地と要益地がセットで登記される

地役権とは、自分の土地が便益を受けるために、他人の土地を使用できる権利のことです。

✔ 地役権の活用例
・ 通行地役権
・ 送電線路敷設地役権

便益を受ける地役権者の土地を「要役地」、便益を与える他人の土地を「承役地」といいます。

通行地役権では要役地と承役地が隣接していますが、送電線路敷設地役権では要役地が発電所や変電所となるため離れた位置関係となります。

要役地所有者と承役地所有者とで契約して地役権が設定されます。

承役地の登記

地役権設定登記は承役地に対して申請します。

筆の一部にのみ地役権を設定するときは、地役権図面を添付し、図面の番号を登記に記録します。

要役地の登記

要役地の登記上でも地役権の存在をあらわす必要があるため、承役地への地役権設定登記がなされたときは、登記官が職権で、要役地に地役権の登記をします。

(地役権の登記の登記事項等)
第80条 承役地(民法第二百八十五条第一項に規定する承役地をいう。以下この条において同じ。)についてする地役権の登記の登記事項は、第五十九条各号に掲げるもののほか、次のとおりとする。
 要役地(民法第二百八十一条第一項に規定する要役地をいう。以下この条において同じ。)
 地役権設定の目的及び範囲
 民法第二百八十一条第一項ただし書若しくは第二百八十五条第一項ただし書の別段の定め又は同法第二百八十六条の定めがあるときは、その定め
 前項の登記においては、第五十九条第四号の規定にかかわらず、地役権者の氏名又は名称及び住所を登記することを要しない。
 要役地に所有権の登記がないときは、承役地に地役権の設定の登記をすることができない。
 登記官は、承役地に地役権の設定の登記をしたときは、要役地について、職権で、法務省令で定める事項を登記しなければならない。

出典:不動産登記法80条

地役権の期間は自由に決めることができます。

放棄や時効などにより地役権が消滅すると、承役地、要役地ともに地役権登記が抹消されます。

永小作権の登記は利用実績が少ない

小作料という金銭を支払い、他人の土地で耕作や牧畜をする権利です。この権利を持つ人を「永小作人」と呼びます。

永小作権の登記においては小作料をかならず記録します。その他、支払い時期や存続期間などが定められたときは、その内容を記録します。

物権である永小作権よりも、債権である賃借権がよくつかわれるため、登記件数は非常に少なく、令和4年においては2件しかありませんでした。

(永小作権の登記の登記事項)
第79条 永小作権の登記の登記事項は、第五十九条各号に掲げるもののほか、次のとおりとする。
 小作料
 存続期間又は小作料の支払時期の定めがあるときは、その定め
 民法第二百七十二条ただし書の定めがあるときは、その定め
 前二号に規定するもののほか、永小作人の権利又は義務に関する定めがあるときは、その定め

出典:不動産登記法79条

採石権の登記も利用実績が少ない

採石権とは、他人の土地において岩石や砂利などを採取する権利のことです。

(内容及び性質)
第4条 採石権者は、設定行為をもつて定めるところに従い、他人の土地において岩石及び砂利(砂及び玉石を含む。以下同じ。)を採取する権利を有する。
 採石権は、その内容が地上権又は永小作権による土地の利用を妨げないものに限り、これらの権利の目的となつている土地にも、設定することができる。但し、地上権者又は永小作権者の承諾を得なければならない。
 採石権は、物権とし、地上権に関する規定(民法(明治二十九年法律第八十九号)第二百六十九条の二(地下又は空間を目的とする地上権)の規定を除く。)を準用する。

存続期間は20年以内とし、更新も20年以内であれば可能です。

令和4年においては3件しかありませんでした。

(採石権の登記の登記事項)
第82条 採石権の登記の登記事項は、第五十九条各号に掲げるもののほか、次のとおりとする。
 存続期間
 採石権の内容又は採石料若しくはその支払時期の定めがあるときは、その定め

配偶者居住権は件数が増加

配偶者居住権とは、夫婦の一方が亡くなったときに残された配偶者が、亡くなった人が所有していた建物に亡くなるまで又は一定の期間無償で居住し続けることができる権利のことです。

平成30年の相続法改正により、令和2年4月1日以降に発生した相続から新たに認められた権利です。

(配偶者居住権)
第1028条 被相続人の配偶者(以下この章において単に「配偶者」という。)は、被相続人の財産に属した建物に相続開始の時に居住していた場合において、次の各号のいずれかに該当するときは、その居住していた建物(以下この節において「居住建物」という。)の全部について無償で使用及び収益をする権利(以下この章において「配偶者居住権」という。)を取得する。ただし、被相続人が相続開始の時に居住建物を配偶者以外の者と共有していた場合にあっては、この限りでない。
 遺産の分割によって配偶者居住権を取得するものとされたとき。
 配偶者居住権が遺贈の目的とされたとき。

出典:民法1028条1項(2、3項は省略)

令和4年の1年間における配偶者居住権の設定の登記件数は892件で、前年から12件、個数は前年から22件増加して922個となりました。

(配偶者居住権の登記の登記事項)
第81条の2 配偶者居住権の登記の登記事項は、第五十九条各号に掲げるもののほか、次のとおりとする。
 存続期間
 第三者に居住建物(民法第千二十八条第一項に規定する居住建物をいう。)の使用又は収益をさせることを許す旨の定めがあるときは、その定め

出典:不動産登記法81条の2

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