不動産登記の見方

区分建物と再開発の登記・土地と建物とが複雑にからむ登記

不動産登記の見方

立体的な権利関係を描く登記を読み解く

区分所有の登記は土地と建物とを紐づけ、立体的に権利関係をつくりあげています。

また、市街地再開発においてはこの区分所有登記がよくつかわれます。

今回は、区分建物とそれを使った再開発の登記について説明します。

不動産登記に関して参考とした書籍

不動産登記の本はたくさん出版されていますが、いずれも同じような内容となっていて、選ぶのに苦労された方もいらっしゃると思います。

このブログでは、以下の著書の流れに沿って説明していきます。


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わかりやすく解説されていておすすめです。

区分建物の登記

まずは区分建物から説明します。

区分建物とは、1棟の建物のなかに、複数に区分されて独立して所有することができる部分がある建物のことで、区分所有建物ともよばれます。

建物の区分所有等に関する法律(通称:区分所有法・マンション法)は昭和37年に制定されてから改正をくりかえしてきました。

✔ 区分所有法の制定(昭和37年)
・ 特別法として制定
✔ 大改正(昭和58年)
・ 区分所有者が当然に管理組合を構成
・ 敷地利用権と専有部分の一体化
✔ 改正(平成14年)
・ 建替え決議要件の緩和

建物と土地の権利がバラバラに扱われたり、登記手続きが煩雑だったりして、トラブルが多発したため、土地の所有権や賃借権などの敷地利用権と建物との一体化が昭和58年に定められました。

Lucky
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昭和58年以前に建てられたマンションなどでは、いまだに土地と建物の登記がバラバラな可能性があります。

区分建物は専有部分と共用部分とで構成される

区分建物は、専有部分(せんゆうぶぶん)と共用部分(きょうようぶぶん)に区別されます。

専有部分

専有部分は、独立して住居、店舗、事務所又は倉庫その他建物としての用途に供することができる部分で、分譲マンションの各室などがこれにあたります。

専有部分として登記するための要件は、構造上・利用上の独立性を有していることです。

(建物の区分所有)
第1条 一棟の建物に構造上区分された数個の部分で独立して住居、店舗、事務所又は倉庫その他建物としての用途に供することができるものがあるときは、その各部分は、この法律の定めるところにより、それぞれ所有権の目的とすることができる。

出典:建物の区分所有等に関する法律1条

ただし、構造上の独立性についての要件は、商業施設などで実情に合わせて緩和されています。

共用部分

共用部分 とは、専有部分に属さない部分で、廊下・階段・エレベーターなどの付属施設を含むものをいいます。

専有部分としての要件を満たしている部分であっても管理規約により共用部分に定められることがあります。

専用部分

共用部分のなかでも、バルコニーや1階の専用庭などの専用部分は特定の所有者がもっぱら使うことができます。

Lucky
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部分は所有の観点、専部分は使用の観点で使われる言葉です。

区分建物の権利は専有部分と敷地の共有持分で構成される

原則として、区分建物の土地や借地権は区分所有者で共有(借地権のときは準共有といいます)されます。

それぞれの専有部分の所有者が敷地を一部ずつ所有することはしません。

敷地権

区分建物の専有部分の単独での所有権と、敷地の共有持分(または準共有持分といい、ひっくるめて敷地利用権とよばれます)とは、登記上一体化されていて、別々に売却することはできません。

区分所有権と別々に売却できないように登記された土地の権利形態のことを敷地権といいます。

Lucky
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敷地権の情報は、建物登記簿の中にとりこまれます。

ちなみに、区分建物の中には、敷地権とする原則に沿っていない土地のままの状態も一定数あり、非敷地権と呼ばれています。

しかし、これからしばらくは、敷地となる土地全体が敷地権となっている区分建物について説明します。

区分建物登記簿の表題部は一棟の建物と専有部分で構成される

敷地権のある区分建物の登記簿は、それ以外の建物の登記簿と構成がちがいます。

✔ 敷地権登記ある区分建物の登記簿
・ 表題部は全体建物と専有部分で構成
・ 建物登記に土地の情報が含まれる
・ 区分所有者ごとの土地登記簿はない

敷地権の登記がある区分建物の場合、建物の登記に敷地権が記録され、区分所有者ごとの土地の登記簿はありません。

全体建物について書かれた部分の構成は以下のとおりです。

出典:法務省 区分建物の全部事項証明書(不動産登記)の見本 抜粋・加工(以下同様)

✔ 全体建物の構成
・ すべての専有部分の家屋番号
・ 一棟の建物の表示
・ 敷地権の目的である土地の表示

全体建物については、建物と土地の全体のことが書かれています。

専有部分について書かれた部分の構成は以下のとおりです。

✔ 専有部分の構成
・ 専有部分の建物の表示
・ 敷地権の表示

専有部分については、専有部分と敷地権について個別に書かれます。

区分建物の表題部(一棟の建物の表示・専有部分の建物の表示)の登記事項

では、一棟の建物と専有部分の、それぞれの表題部の登記事項を見ていきます。

一棟の建物の表示

一棟の建物は個別の専有部分をふくむ全体をあらわすため、家屋番号と種類の表示がありません。

建物の名称欄は、専有部分の建物の表示にもありますが、一棟の建物の表示においてはマンション名やビル名を記録します。

所在は、通常の建物登記とおなじく、地番まで記録されますし、構造、床面積、原因及びその日付、登記の日付欄については通常の建物登記とおなじように記録します。

専有部分の建物の表示

一棟の建物の表示において所在はすでに表示されているため、専有部分の建物の表示では所在の欄がありません。

家屋番号欄は、通常の建物とちがって町名から記録し、専有部分の建物はそれぞれ独立しているため個別に枝番がふられます。

Lucky
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上の図の「101」のことです。通常は部屋番号が枝番となります。

建物の名称欄には、マンションなどの部屋番号を書くので、通常は家屋番号欄の枝番とおなじになります(上の図は101とR10で、ちがっています)。

構造欄は、専有部分に屋根がないので「○○ぶき」は書かれません。階数は通常「1階建」となりますが、1階層分という意味であり、メゾネットの場合は「2階建」と書かれます。

Lucky
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種類欄は通常の建物とおなじです。

附属建物があるときの付属建物の表示欄は、専有部部の建物の表示と、のちほど説明する敷地権の表示との間に設欄されます。

敷地の表題部(敷地権の目的である土地の表示・敷地権の表示)の登記事項

敷地権のある区分建物の登記には、敷地について2つの表示がなされます。

敷地権の目的である土地の表示

一棟の建物の表示の下には敷地権の目的である土地の表示の欄があり、土地を物的に表示します。

土地の符号は、敷地が複数の筆で構成されるときに、1筆ごとに付けられる番号で、1筆ごとに所在および地番、地目、地積が記録されます。

敷地権の表示

専有部分の建物の表示の下には敷地権の表示の欄があり、専有部分の所有者が敷地について持っている権利を表示します。

Lucky
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表題部だけど権利が記録されます。

土地の符号は、敷地権の目的である土地とおなじように、1筆ごとに付けられます。

敷地権の種類の欄は、一般的には「所有権」、土地を借りて区分建物を建てたときは「賃借権」または「地上権」となります。

敷地権の割合の欄には、専有部分の床面積の比率によってきまりますが、管理規約に特別の定めがあればそれに従ってきまります。

原因及びその日付欄には、敷地権となった日付が記録されます。

区分建物の敷地となる土地の登記簿

昭和58年に敷地権の登記が導入され、建物の区分所有登記がなされると、職権で土地にも敷地権の目的となったことが登記されることになりました。

(敷地権である旨の登記)
第46条 登記官は、表示に関する登記のうち、区分建物に関する敷地権について表題部に最初に登記をするときは、当該敷地権の目的である土地の登記記録について、職権で、当該登記記録中の所有権、地上権その他の権利が敷地権である旨の登記をしなければならない。

出典:不動産登記法46条

土地登記の甲区の登記の目的欄には「所有権敷地権」、受付年月日・受付番号欄は余白、権利者その他の事項欄には「建物の表示 ○市○町○丁目○番地○ 一棟の建物の名称 ○○マンション ○年○月○日登記」などと職権で登記されます。

敷地権の登記がされた区分建物は、建物専有部分について権利変動の登記をすれば、併記されている敷地権に自動的にその効力が及ぶだけで、土地の登記には何ら影響しません。

ただし、管理規約に、土地と建物を一体化しないことを定めると、土地の登記は通常のものになり、権利変動も土地の登記に記録されます。

区分建物の表題登記は開発者、所有権保存登記はマンションの買主が登記

マンション等の区分建物が新築されると、分譲業者などの事業主体が、すべての専有部分について、一括して区分建物の表題登記を申請します。

原則として、甲区の所有権保存登記は、表題部所有者(上の図だと甲不動産)でなければできませんが、区分建物の場合は例外として、専有部分の買主が登記します。

権利者その他の事項欄には、通常の建物では原因が書かれませんが、区分建物の場合は「原因 ○年○月○日売買」と記録されます。

(所有権の保存の登記)
第74条 所有権の保存の登記は、次に掲げる者以外の者は、申請することができない。
 表題部所有者又はその相続人その他の一般承継人
 所有権を有することが確定判決によって確認された者
 収用(土地収用法(昭和二十六年法律第二百十九号)その他の法律の規定による収用をいう。第百十八条第一項及び第三項から第五項までにおいて同じ。)によって所有権を取得した者
 区分建物にあっては、表題部所有者から所有権を取得した者も、前項の登記を申請することができる。この場合において、当該建物が敷地権付き区分建物であるときは、当該敷地権の登記名義人の承諾を得なければならない。

出典:不動産登記法74条

規約共用部分と団地共用部分

専有部分としての要件を満たしている部分であっても管理規約により共用部分に定められることがあります。

この場合、原因及びその日付には「◯年○月○日規約設定 共用部分」と記録されます。

また、複数のマンションが一団地を形成しているときに、団地全体のための集会室や管理室を管理規約で共用部分に定めることもできます。

この場合、原因及びその日付には「◯年○月○日規約設定 家屋番号○町○番、○番、○番の共用部分」と記録されます。

区分建物の床面積

床面積は、通常は壁の中心線でかこまれた面積、区分所有建物のときは壁の内側の線でかこまれた面積を計算します。

Lucky
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分譲パンフレットの面積よりも登記面積のほうが小さくなります。

区分建物の建物図面

出典:盛岡地方法務局(土地・建物の地図・図面など)建物図面サンプル 抜粋・加工

区分建物の建物図面は、立体的に把握するためのたくさんの工夫がされています。

✔ 区分建物の通常の建物との相違点
・ 1階全体形状を点線表示
・ 1階以外の専有部分の階数を記載
・ 当該階の全体形状を一点鎖線表示

登記対象となる専有部分は実線で表示されます。

上の図はサンプルで、わかりやすいように薄赤で塗られた登記対象の専有部分は、本来は着色されません。

市街地再開発と登記

つぎは、市街地再開発について説明します。

市街地再開発事業は、都市計画法で定める7つの市街地開発事業の1つです。

(市街地開発事業)
第12条 都市計画区域については、都市計画に、次に掲げる事業を定めることができる。
 土地区画整理法(昭和二十九年法律第百十九号)による土地区画整理事業
 新住宅市街地開発法(昭和三十八年法律第百三十四号)による新住宅市街地開発事業
 首都圏の近郊整備地帯及び都市開発区域の整備に関する法律(昭和三十三年法律第九十八号)による工業団地造成事業又は近畿圏の近郊整備区域及び都市開発区域の整備及び開発に関する法律(昭和三十九年法律第百四十五号)による工業団地造成事業
 都市再開発法による市街地再開発事業
 新都市基盤整備法(昭和四十七年法律第八十六号)による新都市基盤整備事業
 大都市地域における住宅及び住宅地の供給の促進に関する特別措置法による住宅街区整備事業
 密集市街地整備法による防災街区整備事業

出典:都市計画法12条(2項から6項は省略)

7つの事業の実績をみてみると、圧倒的に地区数や計画面積が多いのが、土地区画整理事業です。

出典:国土交通白書2022

新住宅市街地開発事業や工業団地造成事業では、自治体が土地を買収して大規模にニュータウンや工業団地の開発をおこないますので、権利移動は比較的シンプルです。

防災街区整備事業は表にありませんが、2023年3月末時点で5地区となります。

Lucky
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新都市基盤整備事業は事業決定されたことがありません。

市街地再開発事業は権利移動が複雑

出典:国土交通省 市街地整備制度の概要

市街地再開発事業は、事業決定された地区数が、土地区画整理事業に次いで2番めに多い事業となっています。

市街地再開発事業は第1種事業と第2種事業があります。

第1種市街地再開発事業(権利変換方式)

市街地再開発事業では、土地の高度利用によって再開発ビルの床がたくさん生み出されます。

第1種事業では、従前の土地や建物の所有者などが、従前資産の評価に見合う床を受け取ります。

余った床を、新しい居住者や営業者へ売却するなどして処分することにより、事業費がまかなわれます。

Lucky
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第1種市街地再開発事業は土地区画整理事業の立体版です。

第2種市街地再開発事業(管理処分方式・用地買収方式)

第2種事業は、いったん施行地区内の土地や建物などを施行者が買収又は収用し、買収又は収用された者が希望すれば、その対償に代えて再開発ビルの床が与えられます。

第2種事業とすることができるのは、災害発生のおそれが多いか、または緊急の施行を要する地区であることが要件です。

余った床を処分することにより事業費をまかなう点は第1種事業と同じです。

Lucky
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市街地再開発事業の多くは第1種となります。

権利床と保留床

出典:国土交通省 市街地整備制度の概要

従前の土地や建物の所有者などの権利者に帰属する部分は権利床といいます。

事業費としてまかなうために施行者に帰属して処分される部分は保留床といいます。

保留床は開発エリア外にいる人が購入するので、街が活性化する効果があります。

市街地再開発事業における権利変換手続

権利床をもらえる権利者にはさまざまなパターンがあります。

✔ 権利者の分類
① 土地建物を所有し使用
② 土地建物を所有し賃貸
③ 土地を所有し賃貸
④ 土地を更地で所有
⑤ 借地上建物を所有し使用
⑥ 借地上建物を所有し賃貸
⑦ 建物を賃借(賃借権がもらえる)

①②③④は土地を所有していて、①②⑤⑥は建物を所有しています。

権利者による事業実施後の建物の所有形態は2パターンがあります。

✔ 事業実施後の建物の所有形態
・ 建物全体を権利者が共有
・ 区分建物として専有部分を単独所有

実際には区分建物とするパターンが多くなります。

市街地再開発事業における区分建物への権利変換の方式

区分建物とする場合、権利変換の方式は3パターンあります。

✔ 事業実施後の権利変換方式
・ 地上権設定型(原則型)
・ 地上権非設定型
・ 全員同意型

これらのパターンは都市再開発法でそれぞれ定められています。

地上権設定型(原則型)

出典:国土交通省 市街地整備制度の概要

事業実施後の権利変換方式は、原則として地上権設定型となります。

第75条 権利変換計画は、一個の施設建築物の敷地は一筆の土地となるものとして定めなければならない。
 権利変換計画は、施設建築敷地には施設建築物の所有を目的とする地上権が設定されるものとして定めなければならない。

出典:都市再開発法75条(3項は省略)

たくさんあった土地登記は、施設建築物の敷地となるにあたって1個の土地登記となり、それぞれの所有者が従前の土地の価値にみあった持分により共有します。

この土地に、施設建築物の敷地使用のための地上権が設定され、権利床所有者と図のXのような保留床所有者をふくめた建物区分所有者全員が準共有します。

ちなみに、都市再開発法77条では、図のAのように地上権が設定されて損失が出る権利者の補償として施設建築物の一部等が与えられることや、従前Dのように賃借権の設定を受けている者には、施設建築物の一部の賃借権が与えられることが規定されています。

地上権非設定型

出典:国土交通省 市街地整備制度の概要

地上権を設定しない場合は、施設建築物のすべての区分所有者に敷地の共有持分が与えられます。

Lucky
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土地と建物の所有関係を一致させることができ、マンションで多用されます。

(施設建築敷地に地上権を設定しないこととする特則)
第111条 施行者は、第七十五条第二項の規定により権利変換計画を定めることが適当でないと認められる特別の事情があるときは、同項の規定にかかわらず、施設建築敷地に地上権(第百九条の二第三項及び第百九条の三第三項に規定する地上権を除く。)が設定されないものとして権利変換計画を定めることができる。この場合においては、第七十六条、第七十七条第二項後段及び第三項並びに第八十八条第一項の規定は適用せず、次の表の上欄に掲げる規定の同表中欄に掲げる字句は、同表下欄に掲げる字句に読み替えて、これらの規定を適用する。

出典:都市再開発法111条(表は省略)

全員同意型

すべての権利者が権利変換の内容について同意すれば、原則型や地上権非設定型によらずに権利変換を行うことができます。

この権利者には、事業前の土地所有者、借地権者、借家権者及び抵当権者等も含まれます。

(施行地区内の権利者等の全ての同意を得た場合の特則)
第110条 施行者は、権利変換期日に生ずべき権利の変動その他権利変換の内容につき、施行地区内の土地又は物件に関し権利を有する者及び参加組合員又は特定事業参加者の全ての同意を得たときは、第七十三条第二項から第四項まで、第七十五条から第七十七条まで、第七十七条の二第三項から第五項まで、第七十八条、第八十条、第八十一条、第百九条の二第二項後段、前条第二項後段及び第百十八条の三十二第一項の規定によらないで、権利変換計画を定めることができる。(以下略)

出典:都市再開発法110条(1項の途中から5項は省略)

第一種市街地再開発事業の事業の流れと不動産登記

出典:国土交通省 市街地整備制度の概要(一部加工)

第一種市街地再開発事業のにおける登記は以下の3ステップでおこなわれます。

✔ 第一種市街地再開発事業の登記
・ 権利変換手続開始の登記
・ 権利変換の登記
・ 施設建築物に関する登記

区域内地権者の面積および区画人数の3分の2以上の同意書がえられると、市街地再開発組合設立と事業計画の認可がなされ、事業計画決定のあとで、法70条にさだめる権利変換手続開始の登記がなされます。

Lucky
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再開発の話が持ち上がって、ここまでくるのに数十年かかることも。

そして権利変換計画の組合決議、2週間の縦覧、意見書の審査、行政への認可申請を経て、認可決定されると、法90条にさだめる権利変換の登記がなされます。

つぎに、ようやく土地の明け渡しや建築工事がはじまり、施設建築物の工事完了公告がなされると、法101条にさだめる施設建築物に関する登記がおこなわれます。

権利変換の登記(権利変換手続開始・権利変換・施設建築物)

登記の3ステップについて登記内容を見ていきます。

権利変換手続開始の登記(都市再開発法70条)

事業計画決定がなされると、これから不動産取引しようとする者に注意喚起を促すため、施行地区内の土地と建物に権利変換手続開始の登記がされます。

甲区の登記の目的欄には「都市再開発法による権利変換手続開始」、受付年月日・受付番号欄には日付と番号、管理者その他の事項欄には「施行者 ◯市◯町◯丁目◯番◯号 ◯◯市街地再開発組合」などと記録されます。

この登記のあとで、土地建物の所有権や賃借権などを施行者の承認なしに処分してしまうと、施行者に対抗できません。

権利変換の登記(都市再開発法90条)

権利変換計画決定がなされると、以下の内容の登記がされていきます。

✔ 権利変換の登記内容
・ 土地の抹消登記と閉鎖
・ 土地の新たな表題登記
・ 土地の共有者の所有権保存登記
・ 地上権設定登記(地上権設定型の場合)
・ 担保権移行登記
・ 従前建物の所有権以外の権利の抹消登記
・ 従前建物の施行者への所有権移転登記

施行地区内の土地を1筆の土地とするために、地区内の土地を表題部の登記事項を抹消して閉鎖し、これと同時に新しく表題登記をします。

出典:法務省 土地の全部事項証明書(不動産登記)の見本 抜粋・加工(以下同様)

甲区には、所有権保存登記をします。

地上権設定型の場合、乙区には、地上権設定登記をします。

従前の土地や建物に設定されていた担保権の登記を、権利変換後の新たな土地の権利の上に移行します。

登記の目的欄には、「株式会社○○持分根抵当権設定」などと、持分に対する担保権であることを書きます。

原因及びその日付欄には、「原因 ○年○月○日設定」という従前の登記記録に「(○年3月4日都市再開発法による権利変換)」を加え、担保権の内容を書き連ねます。

Lucky
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あとで、竣工した施設建築物の区分所有持分と合わせた共同担保目録がつくられます。

従前の建物は施行者に所有権が移転され、担保権が設定されているときは抹消されます。

施設建築物に関する登記(都市再開発法101条)

施設建築物が竣工すると、施行者は以下の内容を登記申請、または嘱託します。

 施設建築物に関する登記内容
・ 建物の表題登記
・ 建物の所有権保存登記
・ 担保権移行登記(土地・区分建物共同担保)

施設建築物の表題登記は、施行者が一括して申請、または嘱託します。

Lucky
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登記内容はいつもの区分建物の登記と同じです。

(建築施設の部分等の登記)
第118条の21 施行者は、施設建築物の建築工事が完了したときは、遅滞なく、施設建築敷地及び施設建築物について必要な登記を申請し、又は嘱託しなければならない。

出典:都市再開発法118条21(2項、3項は省略)

そして、いつもの区分建物とおなじように、土地にも敷地権の登記が職権でおこなわれます。

施設建築物の専有部分に担保権の移行の登記をするときは、土地とおなじように、原因及びその日付欄には、「原因 ○年○月○日設定」という従前の登記記録に「(○年3月4日都市再開発法による権利変換)」を加え、担保権の内容を書き連ねます。

また、同欄の末尾に、「共同担保 目録(○)第○号」を加え、土地の共有持分と施設建築物の区分所有持分とを合わせた共同担保目録がつくられます。

マンション建替え円滑化法は第一種市街地再開発法と類似

マンションの建替え等の円滑化に関する法律(通称:マンション建替え円滑化法)は、阪神淡路大震災でマンションの建替えの難しさが浮き彫りとなったことをきっかけに、平成14年12月に施行されました。

(建替え決議)
第62条 集会においては、区分所有者及び議決権の各五分の四以上の多数で、建物を取り壊し、かつ、当該建物の敷地若しくはその一部の土地又は当該建物の敷地の全部若しくは一部を含む土地に新たに建物を建築する旨の決議(以下「建替え決議」という。)をすることができる。
 建替え決議においては、次の事項を定めなければならない。
 新たに建築する建物(以下この項において「再建建物」という。)の設計の概要
 建物の取壊し及び再建建物の建築に要する費用の概算額
 前号に規定する費用の分担に関する事項
 再建建物の区分所有権の帰属に関する事項
 前項第三号及び第四号の事項は、各区分所有者の衡平を害しないように定めなければならない。

出典:建物の区分所有等に関する法律62条(4項から8項は省略)

まず管理組合で建替えの議決がなされると、都道府県知事の許可を得て、建替えに賛成した区分所有者で建替組合が設立され、権利変換手続き開始の登記がなされます。

甲区の登記の目的欄には「マンションの建替えの円滑化等に関する法律による権利変換手続開始」、受付年月日・受付番号欄には日付と番号、管理者その他の事項欄には「施行者 ◯市◯町◯丁目◯番◯号 ◯◯マンション建替組合」などと記録されます。

一方、建替えに賛成しなかった区分所有者は、建替組合に区分所有権の買い取りを請求でき、建替組合はこの区分所有権を買い取ることができます。

Lucky
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ノウハウや資金力あるデベロッパーなどは、参加組合員となることができます。

新築マンションへの区分所有権や担保権の移行は建替組合が一括して申請します。

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