一級建築士の合格ノート

一級建築士の面積の計算・廊下係数の活用は時短に直結

一級建築士の合格ノート

面積を制するもの製図を制す

私がブレイクスルーを経験したのは、廊下係数を積極的に活用した時でした。

資格学校では、あまり廊下係数に頼らないようにと言われましたが、むしろ廊下係数は早くて正確な面積把握手段です。

エスキス中、随所に沢山使えますし、廊下係数はフロア全体と各部門といった形で二重に使っても問題ありません

エスキス時間を短縮する上で、多用すべきだと感じました。

製図で扱う面積には2種類ある

製図で扱う面積には、2種類あります。

廊下を含んだ面積

まず、問題用紙で目にするのが床面積の合計です。床面積の合計は上限や下限を指定する形で表現されています。これらは廊下を含んだ面積(住居用途部分については問題文に従って扱うため注意が必要)です。

廊下を含まない面積

所要室の表中には各室の面積が記載されています。これらを合計した数字は廊下を含まない面積の合計となります。(部門全体の面積が与えられている場合や、室内に特定のスペースやコーナーを設けて廊下でつなぐ場合は、一部の廊下を含むことになりますが、あまり深く考えなくて大丈夫です。)

この2種類の面積は、以下のように廊下係数を介して密接に関係しています。

廊下を含む床面積の合計 = 各室の面積の合計 ✕ 廊下係数(1.4)

廊下係数の使用方法

廊下係数の話の前に、エスキスの大前提をおさらいしてみましょう。

各階同ボリュームで計画

なるべく各階同ボリュームで計画して、総2階、総3階に近いプランとします。総2階、総3階に近いプランでは、たて動線の配置の自由度が高まりますし、無駄のないプランとすることができます。

もちろん、大きなテラスを2階に設ける、2層吹き抜けのホールを設ける、などといったことが要求されている場合は、各階のバランスは大きく崩れますが、くれぐれも無駄な屋根を2階に作ることはないようにしましょう。

床面積の合計の上限を使い切る

床面積の合計の上限をなるべく使い切ることを前提に設計します。上限を使い切ることで、廊下などに余裕をもたせて計画することができます。

これら2つの前提条件を守って作図すると、出題者が出題にあたって作図した図面に近づけることができ、すなわち、合格しやすい図面になります。

使用方法1:ボリュームチェック

 

ボリュームチェックを行う際に廊下係数が役立ちます。以下の流れで使います。

床面積の合計から1階の面積を算出
  1. 吹き抜けやテラス、屋根などの規模や配置を仮決めします。
  2. 問題用紙に記載された床面積の合計の上限(廊下を含んだ面積です。)に、これらの吹き抜けやテラス、屋根によって2階や3階で使うことができなくなった空間の面積を足した面積を出します。3層吹き抜けであれば、2階と3階の吹き抜けの面積を足します。
  3. 3階建てであれば、この面積を3で割って、1階の面積(A㎡とします。)を仮に算出します。
各室の面積から1階部分の室面積の合計を算出
  1. 所要室の表中にある各室の面積(廊下を含んでいません。)を各階に割振る作業(本ブログでは面積調整と呼んでいます。)をします。以下の記事で面積調整を解説しています。
  2. 面積調整後、1階部分の室面積の合計(B㎡とします。)を仮に算出します。廊下を含まない面積ですが、玄関ホールやロビーはB㎡に含めておいてください。
     

 

B㎡に、廊下係数(1.4)を掛けた値が以下のどの状態になっているかを確認
  1. A㎡に近い値であれば、無理のない設計ができますので、エスキスを先に進めます。
  2. A㎡を大幅に超える場合は、1階の一部の室を2階や3階に配置し直したり、1階の大きな室を2階や3階の小さな室と交換したりします。
  3. A㎡を大幅に下回る場合は、1階の空間がダボつく可能性があるので、逆に2,3階に配置した室を1階に持っていったり、大きい室を1階の小さい室と交換したりします。

使用方法2:部門やコーナーの面積仮置き

 

面積指定のない部門やコーナーの大まかな面積を把握したい場合に、廊下係数が活躍します。

部門やコーナーに内包される室やスペースの細かい配置(または、室内の各スペースの細かい配置)の検討は、建物内の配置が決まらないとできません。

でも、あらかたの配置を考えないと、部門やコーナーの大まかな面積を把握できず、不安を抱えながら全体の部門配置を考えることになってしまいます。

このように、細かい設計を後回しにしたいけれど、ざっくりとした面積がほしい時には以下のように廊下係数を用います。

部門やコーナーの面積仮置き方法
  1. 部門やコーナーに内包される部屋やスペースの面積を合計します。
  2. 面積合計に廊下係数を掛け、仮にこれを部門やコーナー全体の面積とします。
  3. どの階のどの場所に配置するのか決めます。
  4. 1/400のエスキスで詳細を設計。

部門やコーナーを適切に配置してから、細かい配置を検討すれば、やり直しによる時間の浪費を防ぐことができます。

使用方法2の例題

ふれあい広場(親子の交流の場とする)の全体の面積を仮置きしてみましょう。コーナーに設けるスペースや設備は以下の通り。

・受付カウンター
・イベントスペース(40㎡)
・ベビースペース(40㎡)
・育児書スペース(40㎡)
・授乳室、キッチンスペース、
・ベビーカー置き場、下駄箱

廊下係数を使わない場合の解き方

rough

配置がすぐ思い浮かんだ場合は、描いて、面積を算出します。

18×12=216㎡

廊下係数を使う場合の解き方

配置が思い浮かばない場合は、廊下係数で算出します。

授乳室、キッチンスペース、ベビーカー置き場、カウンターなどを5㎡と面積仮置き。下駄箱は廊下に適宜配置することを想定。廊下係数1.4とします。

(40+40+40+5+5+5+5)×1.4=196㎡

使わない場合使う場合で生じている面積の誤差は、1/400の作図の際にトイレを足したりロビーを削ったりといった微修正をすれば解消してしまう範囲なので問題ありません。

部門やコーナーの部屋の数が多い場合は特に廊下係数で先に大まかな面積を算出することで時間を節約できます。

廊下係数を重複して使用することも可能

使用方法1と2は併用できます

使用方法2で部門の面積を出し、1〜3階に面積配分した後、使用方法1のボリュームチェックを行うと、ある部分については廊下係数が二度も掛けられることになります。

計画によっては、部門やコーナーの部分の廊下スペースがダボつくことがありますが、1/400の作図の際に配置を工夫して解消します。

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