日本語の絵本はジェンダー教育に有害か
幼児教育のなかで、もっとも効き目があるといっても過言ではない絵本の読み聞かせですが、気になることが1つあります。
それは、女の子が主体的に行動する絵本がとても少ないということ。
今回は、日本で出版されている絵本がどのような状況にあるのか、子供にどんな影響がありそうなのか、有効な対策はあるのかについて解説します。
日本の各家庭にある絵本のほとんどは名作絵本
私は出産して赤ちゃんを育てていくうちに、絵本の読み聞かせが幼児教育にとても良いという話をたくさん聞くようになりました。
絵本をあつめるために、大型書店をのぞいてみようと思い、東京駅の丸善にベビーカーを押しながら行ってみました。
絵本コーナーには大量の絵本がディスプレイされていて、途方に暮れてしまいました。
しかし、よくよく見ていくと自分が幼いころに読んでもらった本がいまだにたくさん並んでいることに気が付きました。
なんだかほっとしました。
日本において絵本の新刊の比率は上がってきているが子供向けの新刊は少ない
近年は大人向け絵本が売れるので、新刊の比率が上がってきています。
絵本は名作が安定して売れる分野だが、近年は新刊に勢いがある。(略)絵本市場に占める新刊比率はコロナ禍前の19年で30%と、14年比で3ポイント増えた。
出典:日本経済新聞2022年9月28日
とはいうものの、絵本のメインの読者は子どもたちです。
日本では毎年、たくさんの子ども向けの絵本があたらしく出版され、そのほとんどが日の目を見ずに消えていきます。
安定して売れる絵本は残りの70%の部分であり、これらのほとんどを、出版されてから長い年数を経た絵本が占めています。
メディアでは長く売れる絵本は名作だといわれることが多いため、本ブログでも長寿の絵本を名作絵本とよぶことにします。
メルカリなどの中古市場では絵本がたくさん取引されている
日経新聞のいう絵本市場に、中古の市場は含まれていません。
でも、メルカリなどでは有名な絵本を中心にたくさんの中古の絵本がやりとりされています。
私はたくさんの名作絵本をメルカリで入手しました。
家庭では知人から譲りうける絵本や図書館の絵本がたくさんあると考えられる
また、子育てしている大人は、親戚や友人から中古の絵本をもらったり、図書館で絵本を借りたりすることが多いでしょう。
よって、子供たちが手に取る絵本は、新品と中古が混ざったものになります。
絵本はいったん世に出ると人から人へと渡っていく
絵本は頑丈につくられていて、厚みもないので、子供がいたずら書きしたり、乱暴して破れたり、捨てられたりしない限り何十年も残ります。
だから、メルカリ、知人、図書館からたくさんの中古の絵本がもたらされることになるわけです。
いったん世に出た絵本は人から人へと渡っていくことになります。
累計100万部売れた絵本でみる出版からの年数
つまり、日本の家庭にある絵本を把握するには、これまでに世に出た絵本全体を見ればよいということになります。
アバウトなかぞえかたになりますが、おおまかな雰囲気はつかめると思います。
それでは、これまでにたくさん供給された絵本の出版年数をみてみましょう。
販売数の累計が100万部を突破した絵本は、ウィキペディアなどにのっています。
ウィキペディアでは2022年現在、絵本144冊が挙がっていますが、その中で出版から20年未満の絵本は以下の10冊だけでした。
✔️ 出版から20年未満の100万部突破絵本
・ だるまさんが・の・とシリーズ3冊
・ アンパンマンシリーズ2冊
・ くっついた
・ どうぶついろいろかくれんぼ
・ 100かいだてのいえ
・ しましまぐるぐる
・ おやすみ、ロジャー 魔法のぐっすり絵本
このことからも、世に出回っている絵本のかなりの割合が、出版から20年以上の長寿な絵本で占められていると考えられます。
現代の子供たちが名作絵本ばかりを読んでいる理由
新品、中古にかかわらず、長く売られている絵本(名作絵本)が出回る理由は、消費者サイドにあります。
✔ 名作絵本が選ばれる代表的な理由
・ 大人が親しんだ絵本を子供に与えがち
・ インフルエンサーが名作を推薦する
特に、大人が子供のころに慣れしたしんだ絵本は、書店や図書館でえらばれる傾向が強いと言われています。
名作絵本における女の子の位置づけ
私はさまざまなリストをもとに絵本を集め、コレクションは500冊近くなりました。
子供の年齢にあわせて難易度を調整しながら、まんべんなく読み聞かせていきました。
しかし、絵本の難易度があがっていくと、たびたび絵本の内容に違和感をおぼえるようになりました。
✔️ コレクションした絵本に感じた違和感
・ 女の子が主人公となる絵本が少ない
・ 主体性のない女の子が多く描かれる
ミリオンぶっくから見えてくる主人公のジェンダー的な偏り
たとえば、ミリオンぶっくとよばれるリストをみてみましょう。
トーハンでは、累計100万部以上発行の絵本を選書した「ミリオンぶっく」を毎年企画し、書店に常設展開をおすすめしています。
出典:トーハン公式サイト
ミリオンぶっくでは、販売数が累計100万部を超えた絵本を紹介しています。
✔ ミリオンぶっく2022の分類と掲載数
・ えほんと出会う:39冊
・ 世界が広がる:50冊
・ ものがたりを歩く:41冊
ミリオンぶっくにのっている絵本の主人公を、男・女・不明・混合で分けて数えてみました。
主人公の分類 | 男 | 女 | 不明 | 混合 | 合計 |
えほんと出会う | 12 | 10 | 11 | 6 | 39 |
世界が広がる | 33 | 3 | 8 | 6 | 50 |
ものがたりを歩く | 25 | 4 | 8 | 4 | 41 |
合計 | 70 | 17 | 27 | 16 | 130 |
※男女の判別は「鳴門教育大学学術研究コレクション」や、信州豊南短期大学紀要に掲載されている西川さんの2016年の研究にもとづいた「絵本におけるジェンダー」、各出版社の絵本の紹介文などを参考にしました。
数えてみた結果、「えほんと出会う」の分類では男女が拮抗していていました。
しかし、「世界が広がる」「ものがたりを歩く」の分類になったとたんに、男性が主人公のものがたりの割合がとても大きくなります。
私が感じたとおりでした。。。
名作絵本は、そもそもジェンダーにまつわる議論ができる状態ではありません。
くもんのすいせん図書一覧表における絵本の主人公のジェンダー的な偏り
そこで、つぎに公文が毎年選出している「くもんすいせん図書一覧表」(以下「くもんのリスト」といいます。)をみてみることにしました。
私が子供に読み聞かせるための絵本選びでもっとも参考にしたのが、このリストでした。
古今東西の優れた図書の中から、子ども達に人気が高く、内容的にも優れている本から650冊を選りすぐったもので、読みやすいものから深い内容の本へと5A~ I の13段階に分け、さらに各段階に50冊の本を配列したものです。
5A~2Aは乳・幼児、A~Cは低学年、D~Fは高学年、G~ I は中学以上を、年齢のおおよその目安にしています。
出典:KUMON公式サイト
くもんのリストには、研究者や有識者がさまざまなバランスを考えて選んだ絵本がのっています。
5A~Aまでの分類で、くもんのリストの絵本の主人公を、男・女・不明・混合で分けて数えてみました。
主人公の分類 | 男 | 女 | 不明 | 混合 | 合計 |
5A:0〜3歳 | 12 | 6 | 22 | 10 | 50 |
4A:4歳 | 20 | 9 | 15 | 6 | 50 |
3A:5歳 | 25 | 8 | 10 | 7 | 50 |
2A:6歳 | 28 | 11 | 7 | 4 | 50 |
A:7歳 | 26 | 12 | 8 | 4 | 50 |
合計 | 111 | 46 | 62 | 31 | 250 |
※あくまでも年齢は目安です。
ミリオンぶっくよりもくもんのリストの方が、女性が主人公の絵本の割合が改善していることがわかります。
それでも男性のものと比べて半分以下です。
女性が主人公の絵本がそもそも少ないからでしょうか。
絵本の主人公が女性でもジェンダーバイアスがにじむ作品はたくさんある
くもんのリストで女性が主人公の絵本でも、作家によるジェンダーバイアスがにじむ作品はあります。
くもんのリストで女性が主人公のものがたりを、ジェンダーバイアスのありなしで数えてみました。
ジェンダーバイアス | あり | なし | 合計 |
5A:0〜3歳 | 2 | 4 | 6 |
4A:4歳 | 2 | 7 | 9 |
3A:5歳 | 3 | 5 | 8 |
2A:6歳 | 6 | 5 | 11 |
A:7歳 | 8 | 4 | 12 |
合計 | 21 | 25 | 46 |
※女性を卑しいものとする作品や、女の子、お母さん、おばあさんなどを、男の子、お父さん、おじいさんなどに置き換えたときに、ストーリーの言わんとしていることが成立しない作品は、バイアスありとしました。
読み聞かせをたくさん行う4歳までの絵本をみてみると、ジェンダーバイアスの感じられる絵本は意外と少ない印象でした。
バイアスのない絵本が混じっていることが大事。
✔ 言葉の意味
ジェンダーバイアス:ジェンダーバイアスとは、人や社会が無意識のうちに性差や男女の役割について固定的な思い込みや偏見を持つことである。
ジェンダーステレオタイプ:社会に広く浸透している、「男性」と「女性」それぞれに対して人々が共有する、固定的な思いこみ(信念)やイメージのことである。
日本における女性が主人公の絵本には心おどる冒険ものが少ない
では、女性が主人公の絵本はどのようなストーリーが主流となっているのでしょうか。
先述の「絵本におけるジェンダー」では、
女の子はそもそも描かれる絶対数が少なく、バリエーションに乏しく、描かれたとしても、受動的で補助的な役割を担い、家庭を中心とした比較的狭い世界で人間関係を維持し家事子育てを担う姿が絵本の主人公として表現されていた。
とあります。
女の子は絵本の中であまり冒険しない。
ちなみに、絵本における冒険というのは児童書の冒険とはニュアンスがちがいます。
幼児を対象とする絵本においては児童書における冒険とはことなり、母なるものからの分離に対する逡巡や冒険そのものが短く、すぐに帰ってくる白昼夢の様に描かれている
そこで、くもんのリストにのっていて、女性が主人公となっているものがたりを、冒険のありなしで数えてみました。
物語の内容 | 冒険あり | 冒険なし | 合計 |
5A:0〜3歳 | 1 | 5 | 6 |
4A:4歳 | 3 | 6 | 9 |
3A:5歳 | 2 | 6 | 8 |
2A:6歳 | 1 | 10 | 11 |
A:7歳 | 4 | 8 | 12 |
合計 | 12 | 34 | 46 |
※あくまで「母なるものからの分離」が描かれているか否かを、私が絵本を読んで判断した結果です。
女性が主人公の絵本で、冒険がえがかれているものは少ないと私は感じました。
みなさんは、これらの分析結果をどのように感じられたでしょうか。
男性が主人公の絵本には冒険ものが多く、さまざまなジャンルが網羅されています。
絵本によってジェンダーのステレオタイプを子供が刷り込まれた場合の弊害
ジェンダーのステレオタイプを刷り込まれてしまった子供が、大人になってからぶつかるかもしれない壁はいくつか考えられます。
✔️ ジェンダーステレオタイプによる壁の例
・ 職業選択の自由度低下
・ 恋愛や結婚の自由度低下
・ 家庭での役割分担の自由度低下
ジェンダーのステレオタイプに染まってしまった人は、職業選択や恋愛などのさまざまなジャンルで、スムーズにものごとを進められない可能性があります。
以下、すこし掘り下げてみます。
当たり前の内容なのでこの章は読み飛ばして大丈夫です。。
ジェンダーステレオタイプは職業選択において自由度を低下させる
ジェンダーのステレオタイプに染まってしまった人は、男女がそれぞれふさわしい職業に従事すべきだと思い込むでしょう。
そのようなバイアスがはたらいてしまうと、自分が得意とするジャンル、心の奥底ではやってみてもいいかもしれないと感じている職業に就くことがむずかしくなるかもしれません。
職業選択の自由度はこれから絶対確保しておきたい
しかし、最近では人工知能がくみこまれて自分で判断し、力仕事や繊細な作業をうまくこなすロボットが活躍するようになってきました。
これこらは、過去に男性が主に担ってきた仕事(例えば、製造業など)よりも、女性が主に担ってきた仕事(例えば、保育や看護や介護など)の方が、相対的にニーズが高まるかもしれません。
職業選択についての柔軟な考え方は、これからより一層重要になります。
ジェンダーステレオタイプは恋愛や結婚において自由度を低下させる
誰しも、好きな人と一緒に過ごしたいと思うでしょう。
しかし、ジェンダーのステレオタイプに凝り固まってしまうと、お互いの理想のパートナー像や理想の関係に沿うことが難しくなります。
するとお互いが、自分はだいじにされていないと感じるようになり、別れざるをえなくなるかもしれません。
ジェンダーステレオタイプは家庭での役割分担において自由度を低下させる
現代においては、女性もキャリアアップに力を入れることが期待されています。
すると、男性は金銭的に家庭を支えるだけでなく、育児や家事に従事することが期待されることも多くなるでしょう。
仕事や家事の能力は一夜にして身につかない
ジェンダーステレオタイプに影響を受けて、家事に関心をあまりもたずにいると、練習を積む機会を逸してしまいます。
また、就職することに関心を持たねば、必要な学歴やスキルを身につける機会を逸してしまいます。
家庭を持って、家事や育児をこなしたり、金銭的な余裕を持ったりする必要に迫られても、すぐに対応できず、不便を強いられるかもしれません。
ジェンダーのステレオタイプを批判的に考え、自己の意志に基づいて生きる
これらはジェンダーのステレオタイプを刷り込まれた子供が大人になってぶつかるかもしれない壁の一例に過ぎません。
実際にはもっと多層的で複雑なものが存在すると思われます。
これらの壁を乗り越えるためには、ジェンダーのステレオタイプを批判的に考え、自己の意志に基づいて生きることが大切です。
幼児の絵本の解釈は、ジェンダーのステレオタイプに囚われた大人と違う
では、実際に絵本の影響はどのていどあるのでしょうか。
子供は絵本ではなく実際の生活で性役割を認識する
ジェンダーのステレオタイプに関する研究は20年以上前から進められてきました。
2000年に出版された以下の本では、性役割のステレオタイプの学習がどのように進むのか説明しています。
私が気になった内容は、以下の部分です。
父親が育児や家事に参加している家庭の2歳の子どもは、そうでない同年齢の子どもより性役割ステレオタイプの学習が遅く、4歳になっても性役割の知識が少ないことがわかっている。
つまり、子供の身の回りにジェンダーステレオタイプにまつわる情報があったとしても、家族のふるまいによって影響が違うようです。
共働き家庭の子供は性役割の知識が少なくジェンダーステレオタイプの学習は遅れる
私は仕事が忙しいため、家事と育児を夫と分担しています。
そのためか、4歳の我が子は、母親がもっぱら家事をするものだと認識している様子はありません。
共働きの家庭では、多かれ少なかれ、我が家と同じ感じになるのではないでしょうか。
性役割ステレオタイプの学習が遅れると絵本の主人公の性別を認識しない
また、我が子はテレビアニメや絵本のキャラクターの性別を自由に解釈します。
「性役割ステレオタイプの学習」が遅れているからかもしれません。
NHKで放送されているおさるのジョージの性別について尋ねたところ、「女の子じゃないかな」と答えていました。
ジェンダーのステレオタイプを植え付けるのは絵本ではなく周囲の大人!
以上のことから考えると、子供にジェンダーのステレオタイプをうえつける犯人は、絵本ではなく周りの大人たちなのかもしれません。
男の子ばかりが主人公だったり、ジェンダーバイアスだらけだったりする絵本は、その補強をしているに過ぎないのです。
ジェンダー教育は絵本が最適
子供がジェンダーのステレオタイプに染まってほしくないと思う大人たちはたくさんいるはずです。
しかし、自分たちのライフスタイルをすぐに変えることは難しいものです。
そこで、私は手軽な手段として、絵本に助けてもらうことを提案したいと思います。
絵本をつかえば、自分たちのくらし方、家族構成、人間関係は、数あるスタイルの一つにすぎないということを分かりやすく説明できます。
以下、私が読んでよかった絵本を少しご紹介します。
男の子でも楽しく読める。
まずは女の子が主体的に活動する昔話絵本をコレクションに加える
まずは、自分の家のコレクションに、女の子が活躍する昔話の絵本を加えてみましょう。
女の子の昔話えほん(シリーズ5冊)
1番のおすすめは、中脇初枝さんが日本や海外の昔話を再話した「女の子の昔話えほん」シリーズ。
あなたが知っている昔話の主人公は、男性が多いのではないでしょうか。女性が主人公の場合も、ひかえめでおとなしい女性ではないでしょうか。絵本になるのはそういう昔話が多いのですが、語りつたえられてきた昔話はもっと豊かで、へこたれずに自分なりの幸せをつかむ、いろんな女性たちが登場します。
出典:偕成社公式サイト
日本では明治以来、男性が主人公の昔話がたくさん再話されました。
でも、女性が主人公でおもしろい昔話が日本にはたくさんあるのです。
だから、女性が主人公のものを今から追加すればよいというわけです。
いままで聞いたことがないものがたりは、とても楽しめます。
女の子の昔話:日本につたわるとっておきのおはなし
「女の子の昔話」は、中脇初枝さんが女の子の昔話えほんを出版するきっかけとなった著書です。
女性が主人公のものがたりがたっぷり詰め込まれています。
世界の女の子の昔話
こちらは中脇初枝さんが世界中からあつめた女性が主人公の昔話で、上でご紹介している絵本5冊のなかのテピンギーのお話なども含まれています。
ヨーロッパやアジアなど世界中のワクワクするものがたりが詰め込まれています。
我が家では、4歳の娘に、日本・世界ともに毎晩2話ずつ読み聞かせました。
やまんばのイメージを覆す絵本で女性への評価を塗り替える
出典:ウィキペディア
やまんばは妖怪として絵本にたくさん登場しますが、昔は神様だったのだそうです。
地母神の劣化が山姥という妖怪の本源と考えてよい。
出典:ウィキペディア
まゆとおに
力持ちで好奇心旺盛な女の子まゆが、怪物や妖怪、伝説の生き物など、さまざまな登場人物たちと元気いっぱいに自然の中を駆け回ります。
出典:福音館書店公式サイト
こちらのシリーズも5冊出版されています。
富安陽子さんの絵本では、元気いっぱいの女の子まゆの活躍が楽しめます。
まゆのお母さんはやまんばですが、温かみがあって、超然とした雰囲気があります。
やまんばのにしき
「ちょうふくやまのやまんばが、こどもうんだで、もちもってこう」秋田につたわる、豪快でしかも人間味を感じさせる民話。
出典:ポプラ社公式サイト
村のおばあさんの働きかけにより、さいごはやまんばが村に庇護を与えるおはなしです。
少し怖いやまんばですが人を襲う様子はありません。
やまんばのにしきは、民話絵本のさきがけとして、松谷みよ子さんにより1967年に刊行され、ロングセラーとなっています。
女性であるやまんばの優しい・神々しい側面が描かれた絵本も広まればいいな、と思います。
ジェンダーバイアスと戦った人々のおはなしを読む
絵本をつかうと、昔はもっと女性・男性が自由に過ごせなかった時代があった、といったことも説明しやすくなります。
また、チャレンジして新しいことを始めた人たちのお話を読むと、自分もこれからいろんなことを試してみようという気持ちが芽生えてくるかもしれません。
せかいでさいしょにズボンをはいた女の子
今から約150年前、女性はズボンをはいてはいけないという常識に疑問を投げかけ、非難されても抵抗した少女がいました。後に女性初の軍医として活躍し、フェミニストとして知られたメアリー・E・ウォーカーの幼い日を描く。
出典:光村教育図書公式サイト
小学校低学年向けですが年中さんでも楽しめます。
LGBTのことについて考えるきっかけとなる絵本を読む
絵本であれば、LGBTについてもわかりやすく説明することができます。
日本の民間団体による調査では、「LGBTは人口の8%-10%前後」、つまり「10から13人に1人」が通説となっています。
LGBTの方はかなりの割合で存在することがわかっています。
知識を持っておくことが、まわりの人々への思いやりを持つことにつながります。
また、絵本で早めにLGBTについて話をするチャンスがあれば、もし我が子が当事者だった場合でも、ありのままでいいんだと安心してもらえるかもしれません。
タンタンタンゴはパパふたり
オス2羽のペンギンカップルの絵本は、実話でジェンダーを学べると評判です。
ロイとシロのおすペンギンは、いつからかお互いに気に入り、カップルになりました。(略)ニューヨークにあるセントラル・パーク動物園で実際にあった話を絵本にした『and Tango makes three』の邦訳版です。
さいごに
日本で流通している絵本には女性が主人公のものがたりが少なく、内容も偏っています。
それらの絵本がただちに子供たちにジェンダーバイアス・ジェンダーステレオタイプを植えつけることはないでしょう。
しかし、新しい絵本を使ってさまざまな例外を示してあげれば、子供が自分らしく生きていくことを助けてくれるかもしれません。
幅広い絵本を子供たちに読み聞かせてあげたいですね。
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