黄金色の穂と茶色っぽい穂、もみを塩水に入れてみた
福井の田んぼでもらった、色のちがう2本の稲穂。
見た目では、つやのある黄金色の穂のほうが、よく実っていそうに見えました。
本当に中身がつまっているのはどちらなのか、農家さんの「塩水選」をまねして確かめてみました。
塩水選のまえに、わかっていたこと
塩水に入れるまえに、娘はもみを数えたり、むいたりしていました。
そこで出てきたのが、「どちらの穂がよく熟しているの?」という疑問です。
まずは、そこまでの観察をふりかえります。
1本の穂に、もみは何粒?
娘は、穂の枝ごとにもみをはずして、数をノートに書いていきました。
数えおわった枝は、先っぽのもみに赤い色をつけて、二度数えないように工夫しました。
その結果、茶色っぽい穂のほうが、枝は少ないのにもみが多いことがわかりました。
| くらべたこと | 黄金色の穂 | 茶色っぽい穂 |
|---|---|---|
| 枝の数 | 8本 | 7本 |
| もみの数 | 74粒 | 95粒 |
| 1本の枝あたり | 約9粒 | 約12粒 |
数えた枝のもみに赤い色をつけると、まちがえない。
もみをむいてみた
もみの殻を爪でむいて、中の玄米を取り出しました。
黄金色の穂の玄米は、すきとおらずに、真っ白にくもっていました。
茶色っぽい穂の玄米には、灰色っぽいものや、緑色のものがまじっていました。
家にあった無洗米とも、ならべてみました。
お店のお米は、ふっくらしていて、少しすきとおっています。
| お米 | ようす |
|---|---|
| 黄金色の穂の玄米 | 真っ白にくもっている |
| 茶色っぽい穂の玄米 | 灰色っぽい。緑色のものもある |
| 無洗米(お店のお米) | ふっくら。少しすきとおっている |
※無洗米は、玄米のまわりのぬかをけずった白米。
お店のお米とならべたら、もらった穂のお米は色がいまいちでした。
乾いたら、色の差がわからなくなった
もらったときは、2本の穂の色ははっきりちがっていました。
ところが、家で乾かしておくと、どちらも同じような色になってしまいました。
見た目だけでは、どちらがよく熟しているのか決められません。
そこで、色ではなく、もみの「中身」で確かめられる方法をためすことにしました。
塩水選ってなに?
塩水選(えんすいせん)は、農家さんがタネにするもみを選ぶ方法です。
濃い塩水にもみを入れると、中身がつまったもみは沈み、中身の少ないもみは浮きます。
沈んだもみをタネにすると、苗がそろって元気に育ちます。
塩はどのくらい入れるの?
塩水の濃さは、生卵がどう浮くかで見分けることができます。
水100gに塩を12〜15gほど溶かすと、生卵が浮きはじめます。
うるち米の塩水選では、水100gに塩約22g、卵が少し水面から顔を出すくらいの濃さを使います。
| 塩水 | 水100gに入れる塩 | 目安 |
|---|---|---|
| ふつうの海の水 | 約3〜4g | 塩水選の6分の1くらい |
| 生卵が浮きはじめる | 約12〜15g | 卵は古いほど浮きやすい |
| うるち米の塩水選 | 約22g | 卵が少し水面から出る |
わが家では、0.01g単位まで量れるはかりで、塩を量りました。
最初は「こんなに入れて、溶けるの?」と思いましたが、塩は水100gに約36gまで溶けます。
少しずつ入れてよくかき混ぜると、22gでもちゃんと溶けきりました。
ちなみに、もち米はうるち米より軽いので、塩水選ではうすい塩水を使います。
今の農家さんも塩水選をするの?

昔から、塩水選はタネもみを選ぶ基本の作業でした。
今は、JAなどから専用のタネもみを買う農家さんも多くいます。
そのタネもみは機械で重さをそろえて選ばれていますが、念のため塩水選をする農家さんもいます。
- タネもみが苗になるまで
-
- 塩水選:中身のつまったもみを選ぶ
- 消毒:病気のもとを落とす
- 浸種(しんしゅ):水につけて、もみに水を吸わせる
- 催芽(さいが):芽を出しかけた状態にする
- 種まき:苗箱にまいて、苗を育てる
塩水選をやってみた
実験したのは、10月6日です。
塩の量を10gと22gの2段階にして、どの濃さでどのもみが浮くかを調べました。
黄金色の穂と茶色っぽい穂のもみは、別々に試しました。
用意したもの
用意したものは、家にあるものがほとんどです。
はかりは、塩を正確に量るために使いました。
浮いたもみと沈んだもみを分ける器には、付箋でラベルを貼りました。
- 用意したもの
-
- 稲穂からはずしたもみ(黄金色の穂・茶色っぽい穂)
- 水100g
- 塩(10gと12g、全部で22g)
- はかり
- 透明な器と、仕分け用の器
- 付箋、茶こし
実験の手順
手順は、とてもかんたんです。
もみを入れたら、軽くかき混ぜて、殻の毛についた空気の泡を取るのがポイントです。
泡がついたままだと、中身がつまったもみまで浮いてしまうことがあります。
- 塩水選の手順
-
- 水100gに塩10gを溶かし、もみを入れてかき混ぜる
- 浮いたもみをすくって、「10gで浮いた」器に分ける
- 塩水を22gの濃さにして、沈んでいたもみをもう一度入れる
- 浮いたもみは「22gで浮いた」、沈んだもみは「22gでも沈んだ」器に分ける
- 分けたもみを茶こしに入れ、流水で塩を洗い流す
どれがどれかわかるように器に付箋を貼った。
結果:黄金色の穂のもみは、全部浮いた
結果は、予想とまったく逆でした。
黄金色の穂のもみは、22gの塩水でも1粒も沈みませんでした。
茶色っぽい穂のもみは、22gの塩水でも沈んだままのものが、いちばん多くありました。
| もみ | 10gで浮いた | 22gで浮いた | 22gでも沈んだ |
|---|---|---|---|
| 黄金色の穂 | 【要記入】粒 | 【要記入】粒 | 0粒 |
| 茶色っぽい穂 | 7粒 | 【要記入】粒 | 【要記入】粒 |
見た目は黄金色の穂のほうが立派だったのに。
思いこみはあてにならないと実感しました。
なぜ○○するの?塩水選の科学
塩水選の結果から、いくつもの「なぜ?」が出てきました。
ここでは、そのうち3つを取り上げます。
答えをひとつに決められないものは、考えられることとして書いています。
なぜ中身の少ないもみは浮くの?
浮くか沈むかは、重さだけでなく、「大きさのわりに重いかどうか」で決まります。
中身がつまったもみは、殻の中にぎっしり玄米が入っているので沈みます。
中身が少ないもみは、殻の中にすき間があって空気が入っているので、浮き輪のように浮きます。
なぜ重さは同じくらいなのに、浮き沈みがちがったの?

塩水選のあと、残っていたもみを50粒ずつ、はかりにのせてみました。

形がくずれたものは取り除いて量ったところ、重さはほとんど同じでした。
それでも塩水では、黄金色の穂のもみだけが全部浮いたのです。
| もみ50粒 | 重さ |
|---|---|
| 黄金色の穂 | 1.33g |
| 茶色っぽい穂 | 1.30g |
考えられるのは、黄金色の穂のもみのほうが、殻の中のすき間が大きかったことです。
重さが同じでも、体が大きければ、そのぶん浮きやすくなります。
定規で長さや太さをくらべると、ちがいが見えるかもしれません。
なぜ黄金色でも、中身がつまっていないことがあるの?
お米は、花がさいたあと、もみの中にでんぷんをためて実っていきます。
ところが、熟しきるまえだったり、夏の暑さが強すぎたりすると、でんぷんがすき間なくつまりません。
そうしたお米は、玄米がすきとおらず、白くくもって見えます。
むいたときに真っ白だった黄金色の穂の玄米は、この状態だったと考えられます。
穂の色は、水分や熟し具合で変わり、乾くと差が小さくなることもあります。
「黄金色だから、よく実っている」とは、かぎらないのです。
発芽実験をスタート
塩水選で分けたもみが、本当にタネとして芽を出すのかも確かめることにしました。
金属のバットにキッチンペーパーをしいて、グループごとにならべました。
いちごの種の発芽実験と同じ、ペーパー栽培の方法です。
5つのグループに分けてならべた
10月6日の夜、5つのグループのもみを、バットにならべました。
数をそろえるため、1グループ10粒にしました。
「茶色・10gで浮いた」は7粒しかなかったので、全部使いました。
| グループ | 粒の数 |
|---|---|
| 黄金色・10gで浮いた | 10粒 |
| 黄金色・22gで浮いた | 10粒 |
| 茶色・10gで浮いた | 7粒 |
| 茶色・22gで浮いた | 10粒 |
| 茶色・22gでも沈んだ | 10粒 |
ペーパーはしめらせておき、乾かないようにラップをかけました。
キッチンペーパーには、グループの名前を書いておきました。
5日目、根っこが出た!
10月11日、ならべてから5日目に、はじめて根っこが出ました。
一番乗りは、なんと「茶色・10gで浮いた」7粒のうちの1粒です。
「茶色・22gでも沈んだ」グループのもみにも、殻のわれ目から白いものがのぞいていました。
この白いものは「鳩胸(はとむね)」といって、芽が出る直前のしるしです。
農家さんは、タネもみをこの状態にしてから、苗箱にまきます。
いちごの種は芽が出るまでに19日かかったので、稲の早さにおどろきました。
浮いたもみからも、根っこが出るんだね。
芽や根を出すのは、もみの根元にある「胚」です。
中身のでんぷんは、そのあと育つためのお弁当となります。
塩水選は、お弁当の質を確認する作業だったのです。
これからの記録
これから、グループごとに、芽と根が出た粒の数を数えていきます。
芽が出たあとに、どれだけ大きく育つかもくらべる予定です。
定規をそばに置いて写真をとり、長さの変化も記録しようと思います。
塩水選と発芽実験をするときのコツ
やってみて、うまくいったことと、気をつけたいことがありました。
家で同じ実験をするときのために、まとめておきます。
はかりがなくても、生卵を目安にすれば塩水選はできます。
塩水選のコツ
- もみは、むかずに殻つきのまま入れる(むいた玄米は、ほとんど沈んでしまう)
- 入れたら軽くかき混ぜて、泡を取る
- 「かき混ぜて1分たったら分ける」など、時間を決めておく
- 器にはラベルをつけ、ラベルを貼ったら1枚写真をとる
発芽実験のコツ
- 塩は、茶こしに入れて流水でしっかり洗い流す
- グループごとに、粒の数を記録してから始める
- 数がそろわないときは「7粒中1粒」のように、何粒中かを書く
- ペーパーを乾かさない。水が古くなったら取りかえる
まとめ
見た目では、黄金色の穂のほうがよく実っていそうでした。
でも塩水選をすると、黄金色の穂のもみは全部浮き、茶色っぽい穂のもみのほうがたくさん沈みました。
見た目だけで決めずに、確かめてみることの大切さがわかった実験になりました。










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