不動産登記は手続、形式、機能、効力でいろいろと分類される
不動産登記は、登記所とよばれる法務局や、登記官、売主や買主、代理人となる司法書士や土地家屋調査士、ときには国、都道府県、市町村、裁判所など、様々な関係者により手続きがすすめられていきます。
今回は、不動産の登記手続きとその他不動産登記の分類について説明します。
不動産登記に関して参考とした書籍
不動産登記の本はたくさん出版されていますが、いずれも同じような内容となっていて、選ぶのに苦労された方もいらっしゃると思います。
このブログでは、以下の著書の流れに沿って説明しています。
わかりやすく解説されていておすすめです。
不動産登記手続の概要
不動産登記事務を取り扱う役所は登記所といいます。
登記所でおこなわれる不動産登記の手続きについてかんたんに説明します。
不動産登記を取り扱う登記所としての法務局
不動産登記の事務は、不動産登記法によって、登記所がつかさどることがさだめられています。
(登記所)
第6条 登記の事務は、不動産の所在地を管轄する法務局若しくは地方法務局若しくはこれらの支局又はこれらの出張所(以下単に「登記所」という。)がつかさどる。
2 不動産が二以上の登記所の管轄区域にまたがる場合は、法務省令で定めるところにより、法務大臣又は法務局若しくは地方法務局の長が、当該不動産に関する登記の事務をつかさどる登記所を指定する。
3 前項に規定する場合において、同項の指定がされるまでの間、登記の申請は、当該二以上の登記所のうち、一の登記所にすることができる。
出典:不動産登記法6条
登記所ということばは、法律文にかかれているんですね。
登記所としての事務は、法務省の地方支部分局である法務局、そしてその下部組織である地方法務局、支局、出張所でおこなわれています。
これらの登記所は、一般的には、すべてひっくるめて法務局とよばれます。
法務局(ほうむきょく、英語表記:Legal Affairs Bureau)とは、法務省の地方支分部局の一つ。(略)2021年現在、法務局、地方法務局、支局、出張所あわせて約400カ所。
出典:ウィキペディア(法務局)
不動産登記や商業登記などを取り扱う登記官
出典:国民の権利と財産を守る法務局(法務局における一般的なキャリアパス)
登記に関する事務をおこなう権限をもっている公務員は登記官とよばれ、法律の知識や経験がある人からえらばれます。
(登記官)
第9条 登記所における事務は、登記官(登記所に勤務する法務事務官のうちから、法務局又は地方法務局の長が指定する者をいう。以下同じ。)が取り扱う。
出典:不動産登記法9条
登記所(法務局)における事務は、すべて登記官の責任で取り扱われます。
登記官は、公平な立場であることが求められますので、登記官自身や近親者による登記申請を取り扱うことはできないとされています。
(登記官の除斥)
第10条 登記官又はその配偶者若しくは四親等内の親族(配偶者又は四親等内の親族であった者を含む。以下この条において同じ。)が登記の申請人であるときは、当該登記官は、当該登記をすることができない。登記官又はその配偶者若しくは四親等内の親族が申請人を代表して申請するときも、同様とする。
出典:不動産登記法10条
不動産登記は原則として登記権利者と登記義務者が共同申請する
原則として、不動産登記は登記義務者と登記権利者が共同で申請します。
(共同申請)
第60条 権利に関する登記の申請は、法令に別段の定めがある場合を除き、登記権利者及び登記義務者が共同してしなければならない。
出典:不動産登記法60条
たとえば、売買の登記においては、売主と買主が、住宅ローンの抵当権抹消登記においては、銀行と所有者が共同申請します。
登記権利者
登記をすることによっ て登記上直接利益を受ける者
登記義務者
登記をすることによって登記上直接不利益を受ける者
参考:法務局(登記の申請はだれがしなければならないのですか?)
抵当権の順位変更や共有物分割禁止の登記は合同申請する
利害が対立しない関係者が、一緒に申請することを、合同申請とよびます。
抵当権の順位変更の登記や、共有物分割禁止の登記は、合同申請によりなされます。
合同申請という法律用語はありません。
表題部の登記などは例外として単独申請する
いっぽうで、例外として登記権利者が単独申請する不動産登記があります。
表題部の登記(つまり不動産の表示に関する登記)、所有権保存登記、登記名義人の住所や氏名などの表示変更登記は、単独申請でおこなわれます。
(登記名義人の氏名等の変更の登記又は更正の登記等)
第64条 登記名義人の氏名若しくは名称又は住所についての変更の登記又は更正の登記は、登記名義人が単独で申請することができる。
出典:不動産登記法64条
また、不動産を信託設定するときは、信託の登記の部分を信託銀行などの受託者が単独で申請できます。
(信託の登記の申請方法等)
第98条 信託の登記の申請は、当該信託に係る権利の保存、設定、移転又は変更の登記の申請と同時にしなければならない。
2 信託の登記は、受託者が単独で申請することができる。
3 信託法第3条第3号に掲げる方法によってされた信託による権利の変更の登記は、受託者が単独で申請することができる。
出典:不動産登記法98条
原則として共同申請すべきところを判決によりする登記
相手方が登記に協力してくれないので、裁判の判決をもらっておこなわれる登記があります。
判決により登記義務者の登記申請意思が擬制されているので、登記権利者は単独で申請できます。
(判決による登記等)
第63条 第60条、第65条又は第89条第1項(同条第2項(第95条第2項において準用する場合を含む。)及び第95条第2項において準用する場合を含む。)の規定にかかわらず、これらの規定により申請を共同してしなければならない者の一方に登記手続をすべきことを命ずる確定判決による登記は、当該申請を共同してしなければならない者の他方が単独で申請することができる。
出典:不動産登記法63条1項
登記原因の欄には、たんに判決、和解、調停といったことばか、もしくは判決主文、和解条項、調停条項かかれている原因がかかれます。
原則として共同申請すべきところを登記義務者不在で単独で申請する登記
相続や遺贈、会社の合併などでは、登記義務者がこの世に存在していないため、単独で申請することになります。
(判決による登記等)
第63条
2 相続又は法人の合併による権利の移転の登記は、登記権利者が単独で申請することができる。
3 遺贈(相続人に対する遺贈に限る。)による所有権の移転の登記は、第六十条の規定にかかわらず、登記権利者が単独で申請することができる。
出典:不動産登記法63条2項、3項
単独で申請できるケースは他にもたくさん不動産登記法に定められています。
国、都道府県、市町村、裁判所などの官公署の嘱託による登記
登記の申請は一般人だけでなく官公署によってもなされます。
(当事者の申請又は嘱託による登記)
第16条 登記は、法令に別段の定めがある場合を除き、当事者の申請又は官庁若しくは公署の嘱託がなければ、することができない。
出典:不動産登記法16条1項
「嘱託」という言葉は、民間企業による雇用形態でよく使われますが、官公署のあいだで事務を委託するときにも使われます。
官公署による登記は、一般人の登記の手続きにかかわる規定が準用されています。
(官庁又は公署の嘱託による登記)
第116条 国又は地方公共団体が登記権利者となって権利に関する登記をするときは、官庁又は公署は、遅滞なく、登記義務者の承諾を得て、当該登記を登記所に嘱託しなければならない。
2 国又は地方公共団体が登記義務者となる権利に関する登記について登記権利者の請求があったときは、官庁又は公署は、遅滞なく、当該登記を登記所に嘱託しなければならない。
出典:不動産登記法116条
官公署が嘱託による登記をするときも、一般の登記とおなじように、官公署が登記権利者になる場合と、登記義務者になる場合があります。
官公署が登記権利者となるのは、土地を買収したり収用したりするケースが挙げられます。
(収用による登記)
第118条 不動産の収用による所有権の移転の登記は、第六十条の規定にかかわらず、起業者が単独で申請することができる。
2 国又は地方公共団体が起業者であるときは、官庁又は公署は、遅滞なく、前項の登記を登記所に嘱託しなければならない。
出典:不動産登記法118条1項、2項(3項から6項は省略)
官公署が登記権利者となる場合、官公署はかってに登記を申請することはできず、登記義務者の登記原因証明情報と承諾書をもらって嘱託することになります。
その他、官公署が土地を払い下げるとき、官公署のなかでも裁判所が競売の申立てをうけたり、仮差押・仮処分・破産・会社更生などの登記を申請するときは、嘱託によりおこないます。
登記官の職権登記
不動産登記は、原則として登記義務者と登記権利者などの当事者が申請しておこなわれます。
しかし、当事者の申請が無くても登記官が職務上の権限でおこなう場合があり、これを職権登記といいます。
代表的な職権登記としては、表示に関する登記があります。
(職権による表示に関する登記)
第28条 表示に関する登記は、登記官が、職権ですることができる。
出典:不動産登記法28条
登記官は自発的に以下のような職権登記をおこないます。
✔ 登記官が自発的に行う職権登記の例
・ 分筆や合筆、地目変更
・ 大災害時の建物滅失登記
・ 登記内容を訂正する更正登記
また、権利に関する登記については、当事者から申請された登記に必要となる場合に職権登記をおこないます。
✔ 申請された登記に付随する職権登記の例
・ 未登記建物の差押登記を嘱託されたときの
表題登記と所有権保存登記
・ 承役地の地役権設定に伴う要益地への登記
・ 区分建物の敷地権登記に伴う敷地への登記
それぞれ、不動産登記法にさだめられています。
職権登記されると、当事者の申請ではないため、受付年月日・受付番号の欄は「余白」となり、権利者その他の事項の欄の末尾に受付年月日・受付番号がしるされます。
当事者に代わって関係者がおこなう代位登記
図中、AからB、Cへと不動産の所有権がうつったのにBが登記権利者としての債権を行使しない場合、不動産の登記名義はAのままとなります。
Bのような登記権利者に代位して、Cのような一定の関係がある第三者が登記申請を行うことを代位登記といいます。
民法でさだめられた債権者代位権という権利が根拠になっています。
(債権者代位権の要件)
第423条 債権者は、自己の債権を保全するため必要があるときは、債務者に属する権利(以下「被代位権利」という。)を行使することができる。ただし、債務者の一身に専属する権利及び差押えを禁じられた権利は、この限りでない。
出典:民法423条(2項、3項は省略)
民法では登記における債権者代位についても触れています。
(登記又は登録の請求権を保全するための債権者代位権)
第423条の7 登記又は登録をしなければ権利の得喪及び変更を第三者に対抗することができない財産を譲り受けた者は、その譲渡人が第三者に対して有する登記手続又は登録手続をすべきことを請求する権利を行使しないときは、その権利を行使することができる。(略)
出典:民法423条の7
✔ 代位登記の例
・ 所有権保存登記のない不動産の強制執行
のための所有権保存登記
・ 未登記建物の表題登記と所有権保存登記
・ 公共事業や土地区画整理で道路の一部を
買収するための分筆登記の嘱託
代位登記されると、権利者その他の事項の欄の末尾に代位者の住所・氏名と代位原因がしるされます。
公共事業や土地区画整理での代位登記はとくに前提登記とよばれる
代位登記のなかでも圧倒的に件数の多いのが、道路用地買収のためにおこなわれるものです。
道路をつくる事業者への所有権移転登記をするためには、それを前提として、現状の所有者の情報をあたらしいものに更新したり、移転する部分を分筆したりする必要があります。
(代位登記)
第2条 土地区画整理事業を施行する者(以下「施行者」という。)は、この政令の定めるところにより登記を申請する場合において、必要があるときは、次の各号に掲げる登記をそれぞれ当該各号に定める者に代わつて申請することができる。
一 不動産の表題登記 所有者
ニ 不動産の表題部の登記事項に関する変更の登記又は更正の登記 表題部所有者若しくは所有権の登記名義人又はこれらの相続人その他の一般承継人
三 登記名義人の氏名若しくは名称又は住所についての変更の登記又は更正の登記 登記名義人又はその相続人その他の一般承継人
四 所有権の保存の登記 表題部所有者の相続人その他の一般承継人
五 相続その他の一般承継による所有権の移転の登記 相続人その他の一般承継人
出典:土地区画整理登記令2条
登記申請を代理する人(弁護士、司法書士、土地家屋調査士)
不動産登記は原則として本人申請でおこないますが、弁護士や司法書士、土地家屋調査士に代理権限証書となる委任状をわたして代理申請することができます。
ここでは司法書士、土地家屋調査士についてせつめいします。
司法書士
司法書士は不動産登記や商業登記の専門資格者です。
(司法書士の使命)
第1条 司法書士は、この法律の定めるところによりその業務とする登記、供託、訴訟その他の法律事務の専門家として、国民の権利を擁護し、もつて自由かつ公正な社会の形成に寄与することを使命とする。
出典:司法書士法1条
不動産登記においては、司法書士は権利に関する登記の申請手続きを代理します。
土地家屋調査士
土地家屋調査士は、フィールドワークを通して土地や建物の調査や測量をします。
(土地家屋調査士の使命)
第1条 土地家屋調査士(以下「調査士」という。)は、不動産の表示に関する登記及び土地の筆界(不動産登記法(平成十六年法律第百二十三号)第百二十三条第一号に規定する筆界をいう。第三条第一項第七号及び第二十五条第二項において同じ。)を明らかにする業務の専門家として、不動産に関する権利の明確化に寄与し、もつて国民生活の安定と向上に資することを使命とする。
出典:土地家屋調査士法1条
不動産登記においては、土地家屋調査士は表示に関する登記の申請手続きを代理します。
不動産登記の分類
以上のように、不動産登記手続には、申請による登記、嘱託登記、職権登記があります。
不動産登記には、手続き以外にも、形式、機能、効力によって様々な分類ができます。
以下、順にせつめいします。
形式による登記分類(主登記、付記登記)
付記登記は、権利部になされる登記です。
主登記の権利部には、順位番号が1からふられて、登記されていきます。
主登記の番号に付属する形で、付記登記が記録されると、主登記の順位にもとづいて付記登記の内容も第三者に対抗することができます。
✔ 付記登記の例
・ 登記名義人の氏名・名称・住所の変更や更生
・ 所有権以外の権利の移転登記
・ 所有権以外の権利の権利を登記
結婚などで名字が変更されたり、会社の本社が移転したりすると、付記登記のかたちで変更登記がなされます。
所有権以外の権利の移転登記の代表としては、抵当権の移転登記があります。
抵当権を譲渡する場合は、抵当権の順位を確保しつつ名義を移転させるために、付記登記をつかいます。
買戻特約の登記は、所有権移転登記の付記登記で行いますが、買戻権が譲渡されると「付記登記の付記登記」がしるされることになります。
ややこしい。
機能による登記分類(記入登記、変更登記、更正登記、抹消登記、回復登記)
出典:申請用総合ソフト利用ガイド(一部加工)
不動産登記の機能に着目すると、記入登記、変更登記、更正登記、抹消登記、回復登記などに分類することができます。
記入登記
記入登記とは新たな登記原因に基づく新たな登記のことをさします。
表示に関する登記については表題登記が、権利に関する登記については所有権保存登記や抵当権設定登記などがこれにあたります。
変更登記
不動産登記は、現状を反映する必要があり、変更がしょうじたときは一致するように登記手続きします。
(定義)
第2条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
(略)
十五 変更の登記 登記事項に変更があった場合に当該登記事項を変更する登記をいう。
出典:不動産登記法2条15号
表題部の変更は、欄を追加しておこない、権利部の変更は付記登記などでおこないます。
更正登記
不動産登記において、登記された時点ですでに誤りがある場合に、当事者の申請や登記官の職権で登記を訂正することを、更正登記といいます。
(登記の更正)
第67条 登記官は、権利に関する登記に錯誤又は遺漏があることを発見したときは、遅滞なく、その旨を登記権利者及び登記義務者(登記権利者及び登記義務者がない場合にあっては、登記名義人。第三項及び第七十一条第一項において同じ。)に通知しなければならない。ただし、登記権利者、登記義務者又は登記名義人がそれぞれ二人以上あるときは、その一人に対し通知すれば足りる。
2 登記官は、前項の場合において、登記の錯誤又は遺漏が登記官の過誤によるものであるときは、遅滞なく、当該登記官を監督する法務局又は地方法務局の長の許可を得て、登記の更正をしなければならない。ただし、登記上の利害関係を有する第三者(当該登記の更正につき利害関係を有する抵当証券の所持人又は裏書人を含む。以下この項において同じ。)がある場合にあっては、当該第三者の承諾があるときに限る。
出典:不動産登記法67条1項、2項(3項、4項は省略)
✔ 更正登記が必要な誤りの例
・ 登記内容が元々誤っていた
・ 当事者が登記申請のとき誤った
・ 登記官が登記するときに誤った
むかしの測量技術が未熟だったり、縄伸び、縄縮みだったりして誤った面積が登記されているときは、更正登記をおこないます。
この場合、表題部に一行加え、正しい地積をしるした上で、原因及びその日付欄に、「③錯誤」更正登記の登記日付のみをしるします。
更正する原因となった日はかきません。
共有の不動産の名義を単独にしてしまったり住所を書き誤ったりして申請した場合も更正登記で修正します。
登記官が誤ったときは、当事者の申請を待たずに、法務局長の許可により更正をおこないます。
抹消登記
抹消登記とは、登記された内容そのものがなくなったときに登記事項すべてを消して、登記全体の効力を失わせる登記です。
利害関係のある第三者の承諾をもらっておこなわれます。
(登記の抹消)
第68条 権利に関する登記の抹消は、登記上の利害関係を有する第三者(当該登記の抹消につき利害関係を有する抵当証券の所持人又は裏書人を含む。以下この条において同じ。)がある場合には、当該第三者の承諾があるときに限り、申請することができる。
抹消登記は行を追加して主登記でおこない、順位番号をとります。
抹消された登記はアンダーラインがひかれますが、誤ってひかれている可能性もあるため、抹消されているかどうかは、かならず抹消登記を確認しましょう。
回復登記
誤って登記を抹消してしまっても、利害関係ある第三者の承諾があれば回復させることができます。
(抹消された登記の回復)
第72条 抹消された登記(権利に関する登記に限る。)の回復は、登記上の利害関係を有する第三者(当該登記の回復につき利害関係を有する抵当証券の所持人又は裏書人を含む。以下この条において同じ。)がある場合には、当該第三者の承諾があるときに限り、申請することができる。
出典:不動産登記法72条
登記簿が紙だった時代のなごりで、登記記録が滅失したときも回復登記で対応することが規定されています。
(登記記録の滅失と回復)
第13条 法務大臣は、登記記録の全部又は一部が滅失したときは、登記官に対し、一定の期間を定めて、当該登記記録の回復に必要な処分を命ずることができる。
出典:不動産登記法13条
効力による登記分類(本登記、仮登記)
効力の側面で分類すると、対抗力をあたえる本登記と、対抗力はなく登記準備のための仮登記とがあります。
仮登記は、手続き上あるいは実体法上の要件がそなわっていない段階で、将来の本登記の順位を確保するためになされます。
(仮登記)
第105条 仮登記は、次に掲げる場合にすることができる。
一 第三条各号に掲げる権利について保存等があった場合において、当該保存等に係る登記の申請をするために登記所に対し提供しなければならない情報であって、第二十五条第九号の申請情報と併せて提供しなければならないものとされているもののうち法務省令で定めるものを提供することができないとき。
二 第三条各号に掲げる権利の設定、移転、変更又は消滅に関して請求権(始期付き又は停止条件付きのものその他将来確定することが見込まれるものを含む。)を保全しようとするとき。
出典:不動産登記法105条
予告登記の制度は廃止された
予告登記とは、登記抹消や登記回復の訴訟が起こされたときに、登記上の権利関係に影響が出るおそれがあることを予告するための登記です。
悪用をふせぐため、平成17年3月の不動産登記法改正によりこの制度は廃止され、予告登記がされている登記にあたらしく登記申請があったときに、登記官が職権で予告登記を抹消することになりました。
(予告登記の抹消)
第18条 登記官は、職権で、旧法第三条に規定する予告登記の抹消をすることができる。
2 登記官は、この省令の施行後、登記をする場合において、当該登記に係る不動産の登記記録又は登記用紙に前項の予告登記がされているときは、職権で、当該予告登記の抹消をしなければならない。
出典:不動産登記規則附則18条
まとめ
今回は、登記手続きと登記分類をかんたんに説明しました。
たくさんのキーワードが出てきますが、キーワードを構成している漢字を見ていると、何を意味しているのかわかってきます。
また、不動産登記法にわかりやすく規定されているものばかりなので、概要を知りたいときには、法文中をあたってみるとよいでしょう。
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