地下神殿は大きくて深い!
2026年9月、埼玉県春日部市の首都圏外郭放水路を、家族3人で見学しました。
「地下神殿」とよばれる、巨大な地下空間です。
この記事では、見学のようすと、娘がしらべたことを紹介します。
首都圏外郭放水路ってどんな場所?
首都圏外郭放水路は、大雨のときに川の水を地下へ取りこむ施設です。
取りこんだ水は、地下のトンネルを通って江戸川へ流されます。
まずは、しくみと場所の特徴をかんたんに見ていきます。
大雨の水を江戸川へ流す「地下の川」

国道16号の地下約50mに、長さ約6.3kmのトンネルがつくられています。
中川や倉松川などの川があふれそうになると、水が立坑をつうじてこのトンネルへ流れこみます。
その水を、ゆとりのある江戸川へ流すことで氾濫をふせぐのです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| トンネルの深さ | 地下約50m |
| トンネルの長さ | 約6.3km |
| 水を取りこむ立坑 | 4か所(第一立坑は調圧水槽につながる) |
| 全区間の完成 | 2006年(平成18年) |
| 動いた回数 | 年平均約7回(2026年は9月時点で8回) |
出典:江戸川河川事務所 首都圏外郭放水路の稼働状況ほか
「地下神殿」とよばれる調圧水槽

私たちが見学で入ったのは、「調圧水槽(ちょうあつすいそう)」という場所です。
ポンプで江戸川へ排水したり、逆流を調節したりするための水槽です。
| 調圧水槽 | 数字 |
|---|---|
| 位置 | 地下22m |
| 大きさ | 長さ177m・幅78m・高さ18m |
| 柱の数 | 59本 |
| 柱1本の重さ | 約500トン |
出典:江戸川河川事務所 調圧水槽ほか
なぜこの場所につくられたの?

首都圏外郭放水路の周辺は、利根川・江戸川・荒川などの大きな川に囲まれた低い土地で、お皿の底のように、雨水がたまりやすい地形です。
ハザードマップの中央、紫色のエリアは浸水深5.0m以上とされています。
これは利根川の堤防が切れた場合の想定ですが、土地の低さがよくわかります。
川の傾きもゆるく、水がなかなか海まで流れていきませんし、町がひろがって、雨が地面にしみこみにくくなりました。
長いあいだ浸水の被害をくり返してきた地域でした。
浸水被害の対策として、この首都圏外郭放水路がつくられました。
出典:江戸川河川事務所 首都圏外郭放水路とは
見学の予約と当日の注意点
見学は事前予約制で、いくつかのコースから選べます。
私たちは「地下神殿コース」を予約しました。
予約メールの注意事項は、出発前に家族で確認しておくのがおすすめです。
地下神殿コースを予約しました

土曜日16:00〜16:55の55分間の回を、親子3人で予約しました。
料金は1人1,200円(税込)
※料金やコースは2026年9月時点の予約内容です。 最新の情報は、公式の予約サイトで確認してください。
予約メールで確認したい注意事項
受付は、見学開始の30分前から始まります。
遅刻すると参加できません。
ほかにも、参加には条件がいくつかあります。
- 参加条件・注意事項
-
- 未就学児(小学生未満)は参加できない
- 地下への階段116段を、ひとりで上り下りできる人のみ
- 細いヒールやビーチサンダルは不可。はきなれたスニーカーで
- 飲酒している人は参加できない
- 施設が動いているときは、コースが変わることがある
服装のポイント
見学会の当日、気温は20度前後でしたので、娘は、上着を着て参加しました。
地下は、霧がたちこめて、上着を着ていると少し暑いくらいでした。
においは、少しカビ臭いけど、あまり気になりませんでした。
見学当日のようす
ここからは、見学のあとに娘から聞いた感想をもとに紹介します。
娘の言葉は、できるだけそのまま書いています。
大人とはちがう目線の発見が、たくさんありました。
器具をつけて地下へ

見学では、「安全帯」とよばれる安全のための器具をからだにつけました。
ベルトには滑車がついています。
歩くとカチャカチャっていい音がした。
この器具のおかげで、高いところにいても、こわくなかったそうです。
声がよくひびく、コンクリートの空間

娘は見学の前、水族館のような場所を想像していました。
実際に入ってみると、まわりはコンクリートだらけでした。
ガイドさんの声が、よくひびきました。
階段は116段

地上に出入り口があり、ここから階段を下って神殿を見学します。
地下への階段は116段。
今回は下まで降りずに、作業用通路(キャットウォーク)で左右に分かれて見学しました。
階段が多くて、くたびれた。
柱を見て、地震が心配になった

娘がいちばん気にしていたのは、柱でした。
柱は太いけれど、とても長いから、地震でたおれたら困ると考えたそうです。
大人向けコラム:放水路の効果と、首都圏の治水
ここからは、大人の読者向けに少しだけ深掘りします。
放水路ができて、水害はどれくらい減ったのでしょうか。
「首都圏を守る」という視点もあわせて整理しました。
浸水被害は、どれくらい減ったの?

首都圏外郭放水路は、約2,300億円をかけてつくられました。
出典:関東地方整備局 中川・綾瀬川直轄河川改修事業(首都圏外郭放水路)事後評価資料
この放水路や排水機場などの整備で、流域の浸水被害は大きく減ったとされています。
たとえば、1982年の1つの台風で約3万戸あった浸水戸数は、2019年の1つの台風で約2,700戸にまで減ったと報告されています。
ただし、これは、綾瀬川のまわりも含めた「中川・綾瀬川流域」全体のもので、2737戸は、埼玉県が公表した被害状況を集計した速報的な値(2019年12月23日時点)です。
つまり、これは外郭放水路だけでなく、さまざまな対策を合わせた効果です。
| 2019年の台風19号 | 内容 |
|---|---|
| 雨の量 | 1982年の台風18号の約1.1倍 |
| 浸水戸数 | 約9割減ったとされる |
| 排水機場の能力 | 合計で約6倍に(うち外郭放水路は毎秒200㎥) |
被害がゼロになったわけではありません。
守っているのは、どこ?

首都圏外郭放水路は、春日部市のまわりを流れる中小河川から水をとりこみます。
あふれそうな水を江戸川へ流すことで、下流の川の水位を下げるはたらきもあります。
- 施設の役割・特徴
-
- 取りこむ川:中川・倉松川・大落古利根川・18号水路・幸松川
- 水を流す先:江戸川
- 下流の東京東部も、川の水位が下がる恩恵を受ける
ガイドさんによれば、このエリアを守ることで、その下流に位置する首都圏全体を守ることにもつながるのだそうです。
名前に「首都圏」とついている理由は上記のとおり。
首都圏を守るための、べつの堤防対策

国は別の事業で、「首都圏氾濫区域堤防強化対策」も進めています。
利根川や江戸川の右岸(地図で川の南西側)の堤防が切れると、埼玉県東部から東京都東部まで水が届くおそれがあるためです。
地下鉄やビルの地下設備が水につかると、都市の機能がまひすることも理由にあげられています。
まとめ:娘の問いは、まだ続きます
見学の中から次の問いも生まれました。
次のテーマは「地震で柱はたおれないの?」
娘は、長い柱が地震でたおれたら困ると感じていました。
これは、実際に柱を見下ろしたからこそ出てきた問いです。
次のしらべ学習のテーマにできそうです。
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