最近、日本ではシーリングスタンプがブームとなっています。

SNSでも様々な作品が投稿されているのを見かけるようになりました。
テレビ番組でかわいいシーリングスタンプ作品が紹介されているのを見て、我が家でもスタンプを作ってみました。
今回は、シーリングスタンプの歴史から現代の楽しみ方、注意点までを詳しく紹介したいと思います。
シーリングスタンプの歴史は封泥からはじまった
シーリングスタンプの起源は、実に古代にまで遡ります。
紀元前3000年頃のメソポタミア、エジプト、インド
出展:ツタンカーメンの防腐処理場から出土(メトロポリタン美術館)
紀元前3000年頃のメソポタミア、エジプト、インドでは、粘土製の「封泥(ふうでい)」が使われていました。
重要な巻物や文書を閉じるときに、紐で縛った部分に粘土を塗り、そこに印章を押して封印していました。
秦の時代(紀元前221年~紀元前206年)の中国
中国でも、秦の時代(紀元前221年~紀元前206年)には封泥が広く使われ、漢の時代にはさらに流行しました。
このころの封泥には、官印や個人の印章が押されており、現代の印鑑文化の原点になったと言われています。
中世から近世のヨーロッパで封蝋がつかわれはじめた
紙が発明され広く使われるようになると、封泥に代わって封蝋(ふうろう)が登場します。
ミツバチが巣を作るために分泌した蜜蝋(みつろう)や、ヨーロッパカラマツの緑黄色樹脂の抽出物であるベニス・ターペンタインなど、熱可塑性のある素材が使われるようになりました。
特にヨーロッパでは中世から近世にかけて、重要な公文書や個人の手紙の封印に、封蝋をつかったシーリングがされるようになりました。
16世紀頃のヨーロッパ
出展:BBC作成「高慢と偏見」
ヨーロッパでは、1840年の郵便制度改革で重量での課金となるまでは、手紙の配達は紙の枚数によって課金されていました。
そこで、手紙を送るときに封筒をつかわず、便箋を折りたたんでシーリングスタンプで封をしていました。

私が大好きなBBCの高慢と偏見にも封蝋のお手紙のシーンが。
手紙の送り主を証明するだけでなく、社会的地位を示すファッションの一部としても定着していきました。
貴族や王族たちの間で、家紋や紋章をきざんだ印章を封蝋に押す習慣が広まりました。
明治時代の日本
日本に西洋式の封蝋が伝わったのは明治時代のことです。
それまでの和式の手紙では、折り畳んだ紙を糊付けしたり、水引で結んだりする方法が一般的でした。
しかし、西洋式の封筒が導入されると共に、封蝋を使った封印方法も少し取り入れられるようになりました。
伝統的なシーリングワックスの使われ方
伝統的なシーリングワックスの使われ方をみていきます。
シーリングスタンプの主な使われ方は手紙の封印
シーリングスタンプは主に手紙の封印に用いられました。
この方法で手紙をとじると、手紙が途中で開封されていないことを保証することができます。
また、送り主のアイデンティティを示す役割も果たします。
契約書において合意を形にして残す
出展:独立戦争終結のためのパリ条約のサイン部分
特に重要な公文書や契約書では、複数の関係者がそれぞれの印章で封印することで、全員の合意を形に残すこともありました。
アメリカでは、改ざん防止のため、重要文書には羊皮紙の穴にリボンを通し、シーリングスタンプを押していました。
ボトルにおけるシーリングワックスの伝統
出展:Chateau Lafite Rothschildの封印
17世紀頃からヨーロッパのワイナリーでは、ボトルのコルクと首の部分を覆うように封蝋を施す習慣が始まりました。
シーリングワックスはコルクを保護し、酸素や湿気の出入りを防ぐので、長期熟成する高級ワインの保管に適しています。

封蝋を施すと、立てて保管できるようになります。
また、ワイナリーの紋章や家紋が刻まれたスタンプを押すことで、そのワインの出所を保証して偽造品との区別がしやすくなります。
近年のシーリングスタンプの動向
シーリングスタンプは近年、SNSや動画配信サイトを通じて人気が急上昇しています。
韓国インフルエンサーによる人気拡大
韓国のYouTubeチャンネル「Melts」が投稿するシーリングスタンプ制作の動画が話題となり、癒やされる映像と音で多くの視聴者を魅了しています。
このチャンネルでは、カラフルなワックスを溶かしてスタンプを押し、金粉やビーズで装飾したり、パーツの色を重ねたりする様子が公開されています。

この記事を書いている時点で、再生回数は70万回を超えています。
現代のシーリングスタンプの特徴
現代では、シーリングスタンプの役割は大きく変わりました。
もはや手紙の封印という実用的な使い方ではなく、装飾やクラフトとしての側面が強くなっています。
最近流行のシーリングスタンプセットの特徴を見ていきましょう。
現代のシーリングスタンプセットの特徴は多彩なワックス
現在売られているシーリングスタンプのセットでは、従来の赤や金、銀だけでなく、パステルカラーや蛍光色など様々な色のワックスが揃っています。

30色以上のセットも珍しくありません。
ワックスビーズを組み合わせることで、独自の美しいマーブル模様をつくることができます。
デザイン性の高いスタンプヘッド
花や動物、星座、イニシャルなど、多種多様なデザインのスタンプヘッドがあります。
最近は国内での流行により、日本人好みのスタンプヘッドがたくさん売られています。
シーリングスタンプは両面テープで貼り付ける
封印したいものに直接ワックスを垂らすのではなく、スタンプ台で形を整えてから、両面テープで貼り付ける方法が主流です。
シーリングスタンプの活用方法
シーリングスタンプにはさまざまな活用方法があります。
✔ シーリングスタンプの活用例
・ 手紙やカードの装飾
・ ラッピングの包装紙やリボンに貼付
・ スクラップブックのアクセント
・ ヘアピン、ブローチ、イヤリング
・ フォトフレーム
・ キャンドルホルダー
・ ボトル装飾
ワインボトルや手作り石鹸のボトルなど、曲面へのかざりつけもできます。
シーリングスタンプのテクニック
さきほどの Meltsの動画でもさまざまなテクニックを見ることができますが、ここではシーリングスタンプを楽しむための基本的なテクニックをご紹介します。
ワックスのレイヤリング
ワックスのレイヤリングとは、複数の色のワックスをまぜて、グラデーションや大理石風の模様を作る技法です。

いろんな色の組み合わせを試すと面白いよ。
シーリングスタンプのエンボス加工
シーリングスタンプの凹凸部分が目立たないことがあります。
出っぱり部分に金色や銀色などのペンで色付けし、立体感を強調する方法がエンボス加工です。
エンボス加工をほどこした娘のお作品を祖母にプレゼント
先日、娘と一緒に購入したシーリングスタンプセットで初めての作品を作りました。
スタンプの立体感が強調され、より高級感のある仕上がりになりました。

おばあちゃんのスマホのカバーに貼り付けてプレゼント。
✔ その他のシーリングスタンプの加工例
・ 押し花やラメを透明・半透明のワックスに混ぜる
・ パーツごとに色を重ねて柄を浮き上がらせる
・ 耐久性を高めるため上にUV樹脂を塗って硬化
シーリングスタンプ使用時の注意点
楽しいシーリングスタンプですが、いくつか注意点があります。
シーリングスタンプを始めるときの基本的な注意点
初心者用のセットを買えば、すぐに簡単にシーリングスタンプを作ることができると思います。
ただし、以下のような注意点があります。
✔ シーリングスタンプを始めるときの注意点
・ ライターなどの着火装置含は別途用意
・ 溶けたワックスや溶かす器具は熱くなる
・ 使用後のスプーンのワックスはすぐ拭き取る
・ ヘッドのワックスはぬるま湯で優しく洗浄
・ 手紙を郵送する時は保護カバーをかける
・ ワックスは直射日光を避け涼しい場所に保管
・ 追加のヘッドを購入する時は互換性に注意
シーリングスタンプのブランドについて
シーリングスタンプで世界的に有名なブランドとしては、以下のようなものがあります。
✔ 世界的に有名なブランドの例
ルビナート:イタリア高級文房具で1958年創業
エルバン:フランス高級文房具で1670年創業
ノスタルジック インプレッション:アメリカ1945年創業
ルビナートのハンドルは木製、金属製以外に、ベネチアングラスで作られているものがあります。

互換性のあるスタンプヘッドが国内でも売られています。
ただ、我が家で買ったシーリングスタンプセットのヘッドはメジャーなブランドのハンドルとの互換性が確認できませんでした。

買うときには注意してね。
シーリングスタンプを始めるために必要なもの
シーリングスタンプを始めたい方のために、基本的な道具をリストアップします。
✔ シーリングスタンプの基本的な道具
・ スタンプヘッド:付替可能なヘッドが便利
・ ワックス:初心者は粒状タイプがおすすめ
・ 熱源:ティーライトキャンドルなど
・ 溶かし用スプーン・溶かし皿
・ スタンプ台:溶けたワックスを注いで整形
・ 両面テープ:完成したスタンプを貼り付ける
・ 装飾用ペン:金色や銀色のペンで凹凸を強調
初心者の方は、これらがセットになった入門キットから始めるのがおすすめです。
終わりに
シーリングスタンプは、古代から続く伝統的な封印方法が、現代ではクラフトやアートとして新たな楽しみ方を見せています。
デジタル全盛の時代だからこそ、手作りの温かみや特別感が魅力なのではないでしょうか。
親子で一緒に楽しめるのも良いところです。

ぜひシーリングスタンプの世界を覗いてみてください。
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