化石は地球の歴史を教えてくれる楽しく素敵な教材
化石にくわしくなると、昔の地球がどんな場所だったのかがわかるようになります。
今回は、メジャーな化石がバランスよく入っていてお手頃価格なジェネシスの「化石12種セレクトパック」をもとに、化石についてまとめました。
ジェネシスの「化石12種セレクトパック」とは
参照:栃木県の地球科学(セット内容の関連箇所に下線を引きました)
「化石12種セレクトパック」には、先カンブリア時代から新生代までの化石12種類が入っていて、2千円代で買うことができます。
「化石12種セレクトパック」に入っている化石の種類
セットには、以下の3つのカテゴリーがバランスよく入っていました。
✔ 化石12種セレクトパックのカテゴリー
・ 植物由来の化石
・ 絶滅した動物由来の化石
・ 絶滅してない動物由来の化石
※このカテゴリーはシロウトの私が自分で考えたものです。
売られている化石は、すべて絶滅した生き物のものだと思い込んでた。
恐竜とか、今見られない生き物の化石のイメージが強いよね。
地球上の生き物のダイナミックないとなみを、手元の化石で身近に感じることができるセレクトになっています。
「化石12種セレクトパック」の植物関連・植物由来の化石
✔ 植物関連・植物由来の化石
・ ストロマトライト
・ 縞状鉄鋼層
・ 珪化木
・ 琥珀
植物由来の化石は、4つ入っています。
「ストロマトライト」の元となったシアノバクテリアは、動物でもなく植物でもない、菌類の仲間なのですが、植物として扱われ、藍藻(らんそう)とも呼ばれています。
シアノバクテリアは植物にとりこまれて葉緑体に進化しました。
「化石12種セレクトパック」の絶滅した動物由来の化石
✔ 絶滅した動物由来の化石
・ 三葉虫
・ ゴニアタイトの断面の化石
・ 2つのアンモナイト
・ マキガイの断面の化石
絶滅した動物由来の化石は5つ入っています。
このセットに入っていた「マキガイ化石」は、黒っぽいアゲートに閉じ込められた「ツリテラアゲート」と呼ばれる美しい化石です。
「化石12種セレクトパック」の絶滅していない動物由来の化石
✔ 絶滅していない動物由来の化石
・ サメの歯化石
・ うみゆり化石
・ サンゴの断面の化石
今でも生きている姿が見られる動物の化石は3つ入っていました。
うみゆりやサンゴは植物だと思われているかもしれませんが、うみゆりはヒトデやウニと同じ棘皮動物で、サンゴはイソギンチャクやクラゲと同じ刺胞動物です。
現生のうみゆりも、生きた化石と呼ばれてるよ。
「化石12種セレクトパック」を手に取った子供の反応
化石は小ぶりですが、それぞれに個性があり、触ってみると重みや質感もよく感じられます。
5歳の娘は、初めて見るサメの歯化石や琥珀に興味津々でした。
サメの歯化石は、鋭い刃と尖った先端が印象的な化石です。
サメに噛まれたらきっと痛そう!
黄色く透明な琥珀は少し軽くてなめらかな表面をしています。
琥珀ってなんかプラスチックみたい。
「化石12種セレクトパック」の問題点は説明がないこと
出典:ジェネシス
「化石12種セレクトパック」の化石には大満足だったのですが、1つ困ったことがありました。
化石の説明がのっているカードのイラストや写真が小さすぎて、よく見えません。
化石シロウトの私は、セットの中に入っている化石がどれに当たるのか、すぐには判別できませんでした。
イラストや写真が小さいのは、化石を調べさせることが狙いなのかしら。
いや、単にコスト削減のためじゃないかな。。。
ということで、「化石12種セレクトパック」にはいっていた個々の化石について、私の調べたことをまとめました。
「化石12種セレクトパック」に入っている化石の種類と特徴と時代背景
どんな化石が入っているのか、どんな特徴があるのか、詳しく見ていきましょう。
まず、植物関連・植物由来の化石について説明します。
シアノバクテリアによる生痕化石(ストロマトライト・縞状鉄鉱層)
シアノバクテリアは、およそ27億年前に生まれ、光の届く浅い海で、光合成により酸素を作りはじめました。
年代の特定はむずかしいようで、諸説あるようです。
環境適応能力が高く、いまでも地球のさまざまな場所でシアノバクテリアは見られます。
セレクトパックには2つのストロマトライトに関する化石が入っています。
ストロマトライトは光合成を行うシアノバクテリアの堆積物
ストロマトライトは、シアノバクテリアの活動によってできた層状の堆積物が石化した生痕化石です。
この化石は、黒や灰色のぐるぐるとした模様や、シマシマの模様がみられます。
1日で一つの縞模様ができるよ。
縞状鉄鋼層は酸化鉄が沈澱してできた岩石
縞状鉄鋼層(しまじょうてっこうそう)は、海の中の酸素と鉄イオンが反応して赤い酸化鉄となり、海底に沈殿してできました。
鉄資源のほとんどは、この縞状鉄鋼層からもたらされています。
なぜシマシマになったのかはっきりとした理由はわかっていませんが、縞状鉄鋼層は、シアノバクテリアの生まれた27億年前から19億年前の間につくられました。
シマシマは地球が凍る「全球凍結」の時代などが関係しているかもしれません。
縞状鉄鋼層も、シアノバクテリアの生痕化石に分類することができます。
私たちのもとに届いた石は光沢があり、赤や茶色のシマシマがみられました。
樹木による化石(珪化木・琥珀)
はじめは水辺の近くに生息していた植物は、だんだん乾いたところに進出していきました。
針葉樹が約3億年前に誕生し、広葉樹は約1億5000万年前に誕生しました。
珪化木は針葉樹等の木が珪酸(SiO2)に置き換わったもの
珪化木は、土砂などに埋もれた樹木が、長い年月をかけて地下水中の珪酸に置き換わって石化したものです。
特に第三紀のものが多く見られます。
私たちのもとに届いた珪化木は光沢があり、茶色や黒色の木目のほか、タイガーアイのような金色に輝く部分がありました。
鉄分が多ければ赤くなります。
琥珀は樹液が固まってできた宝石
琥珀は、樹木が分泌した樹脂が、空気に触れて固まったものです。
樹脂の中に昆虫や植物の一部などが閉じ込められていることもあります。
透明または半透明で、黄色や茶色の色がついています。
次に、動物の化石について説明します。
絶滅した三葉虫は示準化石となっている
三葉虫は、約5億2000万年前から2億5000万年前にかけて、古生代の海に広く分布していた節足動物の一種です。
三葉虫というだけあって、上から見ると細長い3つの葉があつまったようにも見えます。
背中の硬い殻がのこりやすく、体化石として発掘されます。
三葉虫は広くたくさんいたので、地層の地質時代を特定するための示準化石となっています。
大繁栄して絶滅(ゴニアタイト・アンモナイト)
化石の代表格とも言えるゴニアタイトやアンモナイトの殻は、うずまき状になっています。
殻の内側は、浮力を調節するための細かいブロック(気室)と、体を収める大きなブロック(住房)とに分かれています。
住房はアンモナイトの体が入っていた部分ですが、残っていないことが多いようです。
隔壁と外側の殻とのつなぎめの線のことを、縫合線といいます。
ゴニアタイトはアンモナイトの祖先
ゴニアタイトは、約4億年前から2億5000万年前にかけて、古生代の海に生息していた頭足類の一種です。
アンモナイトの祖先にあたり、縫合線はシンプルに尖った部分や丸い部分でできています。
届いた断面化石は、隔壁の細かい構造がよく見えました。
アンモナイトは示準化石となっている
アンモナイトは、約4億年前から6500万年前にかけて、古生代から中生代の海に繁栄し、示準化石となっています。
進化するにつれて、隔壁が外の殻をしっかり支えて大きな水圧に耐えられるよう、上の写真のように、縫合線がぐにゃぐにゃしているものが多くなります。
届いたアンモナイトは、殻の内側にある縫合線を観察することはできませんでしたが、外側のゴツゴツした様子が種類によって全然ちがうことがよくわかりました。
巻きのきついものと、ゆるいものとが入っていました。
マキガイの断面化石はアゲート化した堆積物中に埋まっている
約4000万年前の始新世に生育していたエリミアテネラという絶滅種です。
アメリカのワイオミング州にあるグリーンリバー累層という始新世の地層で、湖沼や河川の堆積物から発見され、「ツリテラアゲート」と呼ばれています。
光沢のある黒っぽいアゲートに浮き上がるマキガイの白い断面がおもしろいです。
恐竜絶滅期も生き延びたサメの歯化石は沢山とれる
出典:ウィキペディア アオザメ
サメの歯は、種類にもよりますが、一生に何万本も生えかわるので、サメの歯の化石はたくさん見つかります。
サメは恐竜絶滅の時代も生き延びて今もその姿をみることができる魚です。
セットに入っていたのはアオザメかオオメジロザメあたりのものだと思われます。
三角形のするどい歯が特徴的です。
うみゆりは今も深海に漂う
出典:三重県総合博物館
うみゆり化石は、現在も海に生息しており、花のような形をしています。
ウミユリは、茎のような形の部分に石灰質の骨片を持っており、これが化石化することがあります。
段々のある白や灰色の円筒形の骨片が特徴的です。
サンゴ化石は複雑な模様が魅力
サンゴは、石灰質の骨格を持つ多数のポリプからなる動物で、骨格の化石にもポリプの跡などの細かい模様がみられます。
サンゴやサメの歯の化石からは、それらがいた場所や時代の環境を推定することができます。
古代の気候や地形、生物相などを知る手がかりになる化石のことを示相化石と呼びます。
ジェネシスの化石は、値段の割に良質で特徴を捉えやすい
以上が、化石12種セレクトパックに入っている化石について私が調べた内容となります。
このように、ジェネシスの「化石12種セレクトパック」は、とても素晴らしい商品です。
子供と一緒に化石を観察しながら、楽しく昔の地球について学ぶことができました。
化石に興味のある方や、子供の自由研究などにおすすめです。
化石を販売するメジャーな業者
ちなみに、日本において鉱物や化石を販売するメジャーな業者としては、以下のようなものがあります。
ジェネシス
化石や鉱物、琥珀などの販売を行っている業者です。
化石や鉱物の標本や研磨品、磨きキットや万華鏡などの商品を提供しています。
東京サイエンス
化石や鉱物の販売を行う専門店です。
海外の鉱物を中心に、標本、研磨加工、人工鉱物などの鉱物製品を販売しています。
また、化石や鉱物の標本セットや研磨キット、恐竜や哺乳類の模型なども取り扱っています。
さいごに
それぞれの化石には、地球の歴史や生物の進化の物語が隠されています。
化石を見るときは、その化石がどんな時代に、どんな環境にいたのか、どんな生き物だったのかを想像してみると、もっと楽しめると思います。
化石は、私たちに過去の世界を教えてくれる貴重な宝物です。
化石に興味を持ってくれた子供たちに、この記事が少しでも役に立てば嬉しいです。
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