チリモン探しは健康にもよい
ちりめんモンスター(略してチリモン)とは、ちりめんじゃこの中にまざっているちいさな海の生き物たちのことです。
私は、「フグの稚魚に毒はない」というエックスへの投稿や、「それってチリモンのことでしょ」というリプを見て、チリモンという言葉をはじめて知りました。
今は、6歳の娘と一緒に夢中になって、チリモン探しをしています。
今回は、ちりめんモンスターについて説明します。
※当ブログでは一部に楽天のリンク付き写真を使用しています。
ちりめんモンスターとは
今や「ちりめんモンスター」は、シラス干しにまざっている稚魚などをさす言葉として広く使われています。
きしわだ自然資料館等の有志が名付けたそうです。
モンスター的な見た目や、思いがけない発見の面白さから生まれた愛称だと思われます。
食用として売られているちりめんにまじっているチリモンは、食べられます。
ちりめんモンスターを探してみた
いまや、ふつうのちりめん製品は選別が行き届いているため、ちりめんモンスターはほとんど見つかりません。
見つけると、お宝を発見したみたいな気持ちになる。
では、どうしたら、よりたくさんのチリモンに出会えるでしょうか。
ちりめんモンスターの入ったちりめんの購入方法やコツ
私たちは、近所のスーパーでパッケージの外からチリモンが見える商品を選んだり、Amazonで購入したりしています。
ちりめんモンスター探しをするなら、「訳あり」「無選別」といったキーワードのついたちりめんを購入するのがおすすめです。
以下、Amazonで買ったちりめんじゃこにまぎれて見つかったチリモンを、すこしだけご紹介します。
Amazonでは瀬戸内海のちりめんがたくさんラインナップされています。
エソ(狗母魚・鱛)のなかま
えそのなかまは、黒い点々がついていて、比較的みつけやすいちりめんモンスターです。
井上海産の愛媛橋本鮮魚「井上のちりめん」というブランドで、たくさん発見することができました。
おとなのエソは爬虫類ににているので、ワニエソとかトカゲエソなどともよばれる種類もあります。
エソは、かまぼこの最高級品として加工されます。
エソはやわらかくて、味はまろやかでした。
タチウオ(太刀魚・立魚)のなかま
タチウオの稚魚も細長いので、かんたんに見つかります。
稚魚もおとなと同じく平たい形で、尾びれなどが退化している様子が観察できます。
「井上のちりめん」では1袋100g中に、タチウオを4匹みつけることができました。
タコ(蛸)のなかま
タコは3匹見つけることができました。
母ダコは餌も食べずに卵のお世話をして、すべての卵がふ化するころに力尽きて死んでしまいます。
タコはお母さんと過ごせないんだね。
赤ちゃんタコは、水中に浮かんで生活するので、シラス漁にかかります。
カワハギ(皮剝)のなかま
カワハギは黄色い体でおちょぼ口なので、みればすぐ判別できます。
1袋に1匹だけみつけることができました。
オキアミ(沖醤蝦)のなかま
「井上のちりめん」では他にもオキアミをたくさんみつけました。
写真の右側のオレンジ色のチリモンです。
オキアミは、エビの仲間ではなく、南氷洋に生息する動物性プランクトンです。
ヒゲクジラなどの餌になっているよ。
ウオノコバン(魚の小判)のなかま
エビに似たチリモンでいうと、大平水産の網元大将というブランドのちりめんでは、ウオノコバンのなかまを3匹発見しました。
ウオノコバンは体長1cm程度のフシのあるいきもので、最初はエビの仲間かと思いましたが、調べてみると魚に寄生して体液を吸ういきものだと判明。
魚の口などでみつかるので、魚がたべている途中だと思って名付けられたのか、ウオノエ(魚之餌)ともよばれています。
正体を知って大人たちはちょっぴりギョッとしていましたが、子供は観察したり味わったりして楽しんでいました。
エビみたいな味だった。
ちりめんモンスターの探し方とコツ
ちりめんモンスターは、漫然と見ていてもなかなかみつかりません。
✔ チリモン探しのコツ
・ 白や黒の皿に少量ずつ広げて観察
・ 箸でかき分けながらじっくり探す
・ スマートフォンのライトで照らすと見やすい
・ 図鑑や後述の標本をみくらべながら探す
といったことを念頭に、根気よくさがしていきましょう。
また、大きなちりめんを先に食べてしまえば、モンスターを探しやすくなります。
ちりめんモンスター探しには教育的価値がある
ちりめんモンスターに関連した活動には、いろんな教育上のメリットがあります。
私が娘といっしょにチリモン探しをしていて感じたことをまとめてみました。
ちりめんモンスター探しは食育につながる
まずは、食育の方向からみてみましょう。
✔ チリモンを使った食育
・ カルシウム豊富な稚魚を楽しく食べられる
・ 海産物の食文化への親しみを感じられる
・ 食べ物を大切に観察する習慣が身につく
近年の子供たちの間で「魚離れ」が進んでいることが大きな課題となっていますが、ちりめんじゃこを食べれば魚に対する興味がわいてくるでしょう。
ちりめんじゃこには、子供の成長に欠かせない栄養素がたっぷり含まれています。
✔ ちりめんじゃこの栄養
・ カルシウム、鉄分、マグネシウム、リン
・ 良質なタンパク質
・ ビタミンD(カルシウムの吸収を助ける)
・ ビタミンB群(代謝、脳機能サポート)
・ DHA・EPA(頭の良い子に!)
カルシウムは、なんと100gあたり約2,000mg含まれていて、重さあたりで牛乳の5倍〜10倍もあります。
日本の子供たちはカルシウムが不足していると指摘されていますが、チリモン探しをしていればたくさん摂取できます。
栄養素の勉強になる。
ちりめんモンスター探しは理科の学習のきっかけになる
✔ チリモンを使った理科学習
・ 海のいきものの多様性への気づきが得られる
・ 図鑑の使い方が習得できる
・ 観察力が養成される
ここでは、チリモンに関するおすすめの図鑑をご紹介します。
ちりめんモンスターを扱った図鑑はいくつか出ていますが、まずは偕成社から出ている「チリメンモンスターを探せ!」を見てからチリモン探しをしてみると良いと思います。
さいごのページ「チリモンがささえる海の生き物」のイラストを見ていると、多様性について考えさせられます。
「チリメンモンスターのひみつ」という続編も好評のようです。
そして、チリモンの沼にハマったら、仮説社から出ている「海のミクロ生物図鑑」をながめましょう。
稚魚は成長して1mm変わるだけで見た目が変わるので、せっかくチリモンを見つけても同定に手間がかかります。
しかし、この図鑑は大きさごとに写真が載っているので、6mm、9mm、11mmのチリモン状態のイカ、乾燥していない状態のイカ、などをくらべて見ることができます。
ちりめんモンスター探しは集中力の向上をもたらす
チリモンは小さいいきものであり、観察するには集中力、忍耐力が必要です。
しかし、一方で、モンスターたちはとてもかわいらしく、個性的で、さまざまな種類があるため、子供たちを飽きさせません。
✔ チリモン探しで身につくもの
・ じっくり観察する習慣
・ 細かいものを探す忍耐力
チリモン探しは、観察の習慣や忍耐力がきたえられると思います。
チリモンがおとなになった姿も実際にくらべてみましょう。
漁業についても理解を深めることができる
チリモンを一通りさがしたあとは、YouTubeで漁業への理解を深めていきましょう。
曳網漁・バッチ網漁の様子を子供といっしょに見ていきます。
いっしょにサメやクラゲがかかってしまうと、船の上で選別作業がおこなわれます。
氷で鮮度をたもって加工場にはこばれ、スピイーディーに釜揚げしらすやちりめんじゃこに加工されます。
ちりめんモンスターの標本作り
Amazonでちりめんモンスターを検索していたら「ちりめんモンスター レジン標本」なるものを見つけました。
この標本をつかえば、発見した生き物の同定に大変役立ちそうです。
そして、自分が見つけたチリモンをレジンでとじこめれば、コレクションを増やすこともできます。
ちりめんモンスターのレジン標本の作り方
Amazonで売られていた標本は、厚さ5mm、2cm角のレジンの中に1匹ずつとじこめられており、細部まで観察することができます。
レジン標本は、以下のような手順で作ることができます。
✔ レジン標本作りの手順
・ 発見したちりめんモンスターを乾燥させる
・ レジンを型に流し込む
・ ちりめんモンスターを配置
・ さらにレジンを重ねる
・ 硬化させる(UVライト・太陽光など)
けっこうかんたんに作ることができます。
レジン標本の材料や道具
必要な材料やキットもAmazonなどで購入可能です。
レジンでアクセサリー作りもやってみたい。
UVレジンを扱うときの注意点
UVレジンの注意点としては次のことがあります。
✔ レジン標本を作る際の注意点
・ レジン作業は必ず大人の監督のもとで行う
・ 換気の良い場所で作業する
・ 適切な防護具を使用する
硬化前のレジン液を素手でさわらないように、ビニール手袋をつけ、服などにも付かないように注意します。
レジンは臭うので、換気をしっかりおこなう必要がありますが、室温が低いと気泡がぬけにくくなるので注意が必要です。
モールドから外すときは、やけどにも気をつけます。
まとめ
ちりめんモンスター探しは、子供との新しい趣味として最適です。
食育と理科学習を兼ねた活動として、夏休みの自由研究にもおすすめです。
何より、予期せぬ発見があるワクワク感が子供の好奇心を刺激し、海のいきものへの興味を深めるきっかけとなります。
ぜひちりめんモンスター探しに挑戦してみてください!
コメント