自由研究ノート

火山とキャベツの不思議な関係!嬬恋村で学ぶ浅間山の恵みと鬼押出し園巡り

自由研究ノート

浅間山の麓に広がる日本一のキャベツ産地、嬬恋村を探検

嬬恋村には火山がもたらした災害と恵みの壮大な物語があります。

240年前の大噴火でできた鬼押出し園の溶岩原と、見渡す限りのキャベツ畑の風景は、どちらも浅間山が生み出しました。

今回は、小学1年生の娘と訪れた秋の嬬恋一泊旅行での発見をお伝えします。

嬬恋村が日本一のキャベツ王国になった理由

嬬恋村は、夏秋キャベツの生産量が日本一。

全国シェアの約50%を占めるキャベツ王国です。

キャベツのおいしさの秘密は、浅間山をはじめとする火山からの贈り物と、標高700~1400メートルの高原地帯にありました。

一面に広がる緑の海の正体

嬬恋村に入ると、突然視界がひらけて、見渡す限りの緑色の海があらわれました。

整然と並んだキャベツの列が、丘の斜面に沿って続いています。

嬬恋村の農地面積は約3000ヘクタール、東京ドーム約640個分もの広さです。

7月から10月にかけて、毎日大型トラックが何十台も、ここで育った新鮮なキャベツを全国に運んでいきます。

朝晩の寒暖差とキャベツを甘くするメカニズム

10月初旬の朝、キャベツ畑の脇に車をとめて、近づいて見てみると、キャベツが朝露でびっしょりとぬれて朝日に輝いていました。

嬬恋村の平均標高は約1000メートルあり、昼夜の寒暖差がおおきくなります。

昼間の光合成でつくられた糖分が、夜の低温のおかげでつかわれずに蓄積される、このくり返しが、嬬恋キャベツ特有の甘みを作り出しています。

嬬恋の畑の土は黒い

キャベツ畑の土を手に取ってみると、黒くてホクホクしています。

これは「黒ボク土」と呼ばれる土で、日本の国土の約3割、日本の畑の約半数を占めています。

Frank
Frank

海外ではあまり見られない希少な土です。

黒ボク土は水はけがよく、それでいて適度な保水力もあり、肥料をあたえれば農作物がよく育ちます。

嬬恋村は寒暖差がある高地で良い土があったから、キャベツ王国になったというわけです。

鬼押出し園で見る火山の多様な側面

キャベツ畑から車で約20分、私たちは浅間山の北麓にある鬼押出し園に到着しました。

ここは1783年(天明3年)の浅間山大噴火でできた、岩のテーマパークのような場所です。

天明の大噴火が作った溶岩アート

園内に入ってまず目に飛び込んでくるのは、奇怪な形をした黒い岩の群れ。

これらはすべて、240年前の江戸時代に起こった天明の大噴火で、浅間山から噴出した火砕物のなごりです。

浅間山の火口付近につもった火砕物が、高温になってふたたび部分的に溶け、急斜面を土石流となって、ここまで流れてきました。

溶岩に飲み込まれた村

土石流は、鎌原の村をのみこんで、何百人もの犠牲者をだしました。

鬼押出し園には、犠牲者を供養したお寺や鐘があります。

観光客が1人ずつ、良いひびきの鐘をならしていました。

火山灰が関東一円に降り注いだ日

出展:こもろ観光局

火山が噴火すると、軽い火山灰は空高く舞い上がって風に乗って遠くまで飛んでいきます。

実際、天明の大噴火では、火山灰が江戸まで飛んでいったという記録が残っています。

Lucky
Lucky

昔からの噴火による火山灰が、関東ローム層を生みました。

天明の大飢饉と火山灰の影響

天明の大噴火で降った火山灰は、関東一円の農地を覆い尽くし、農作物は壊滅的な被害をうけました。

そして、天明の大飢饉と呼ばれる食糧危機が起こりました。

このときに嬬恋に降り積もった火山灰が、腐植などとまざり合って変化して、キャベツ畑の黒ボク土になりました。

Smile
Smile

いったん土に混ざると、お野菜がうまく育つ。

噴火が現代にもたらした恩恵

大きな災害をもたらした浅間山の噴火でしたが、いまではたくさんの恩恵を周辺にもたらしています。

溶岩原に生きる植物たち

一見不毛に見える溶岩原ですが、たくさんの植物が生えているのを見かけました。

びっしりと岩を覆うコケや岩の隙間から顔を出すカラマツ、紅葉した楓、そして可憐な高山植物たち。

特に印象的だったのは、溶岩の上に直接根を張っている松の姿でした。

これらの植物は「パイオニア植物」と呼ばれ、厳しい環境でも生きられる強い生命力を持っています。

Lucky
Lucky

植物と溶岩とのコントラストが素敵でした。

おもちゃ王国で溶岩の起伏をいかしたアスレチックを堪能

鬼押出し園から車で数分のところにある、軽井沢おもちゃ王国にも行ってみました。

2021年に改修されたアスレチックは、120のエレメント数をほこる関東最大級の規模。

溶岩の起伏をうまく利用したダイナミックな構造が、子どもたちの冒険心をかきたてているようでした。

Smile
Smile

アスレチック楽しかった!

地元食材で味わう火山灰土壌の恵み

宿泊したホテルの夕食は、地元の食材をふんだんに使ったビュッフェでした。

Frank
Frank

メインはもちろん嬬恋キャベツです。

生のサラダ、ロールキャベツ、キャベツの浅漬け、回鍋肉。

同じキャベツでも、調理法によってまったく違う味わいが楽しめました。

Smile
Smile

このキャベツおいしい!

Lucky
Lucky

いい土で育ったからかもね!

特に印象的だったのは、シンプルな千切りキャベツ。

ドレッシングなしでも十分甘く、シャキシャキとした食感が最高でした。

これが黒ボク土のミネラルと高原気候が生み出す味なのだと実感しました。

まとめ:火山灰と溶岩が教えてくれた時間の価値

火山灰が作る農地と、溶岩が作る雄大な景観。

そして、災害を恵みに変える長い時間の流れと、その中で生きる人々の知恵。

Lucky
Lucky

秋の嬬恋は家族旅行におすすめです。

嬬恋村での二日間は、私たち家族にとって忘れられない学びの時間となりました。

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