アイプリカードは金銀ホログラムでまばゆく輝く
娘がお友達からアイプリのカードをもらったことをきっかけに、我が家でもカードを集め始めました。
レアなカードは金箔やホログラムがたくさんあしらわれ、普通のカードでも傾けると虹色に輝くドットが浮かび上がります。
そんな美しいカードたちですが、つくられ方は謎です。
今回は、一部破損してしまったカードを使って、その構造を解明する実験を行いました。
カード製造の謎:なぜメーカー名は秘密なのか
アイプリカードの製造元は公表されていません。

これには理由があります。
トレーディングカードは単なる紙ではなく、二次市場で高額取引されます。
もし工場からレアカードが流出すれば、市場価値は暴落し、ゲーム全体の信頼性が崩壊してしまいます。
そのため、製造を担うのは高度なセキュリティ体制を持つ限られた企業だと推測されています。
- 推測されるカードメーカー
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- TOPPAN株式会社(旧凸版印刷)
- DNP(大日本印刷)
- 株式会社エス・ワイ・エス(TCG専門企業)
通貨や有価証券の印刷実績を持つこれらの企業だからこそ、厳格な管理下での製造が可能だというわけです。
実験:カードの層構造を探る
娘は、アイプリカードがなぜこんなにもキラキラするのか不思議がっています。
そこで、曲がって一部がちぎれかけた星2つのサクラのカードを使って、表面構造の解明に挑戦しました。
トレーディングカードの構造を解明する実験方法
カードを水でふやかして、表面の層を分離してみました。
- 手順
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- 水を入れた器に、ちぎれかけた部分を浸す
- しばらくふやかして、フィルムの剥離を試みる
- 剥がれたら、フィルムを観察
カードを分離してみた結果
私は、透明なフィルムがきれいに剥がれると思っていたのですが、結果はちがいました。
- おもて面のフィルム
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- 水でふやかすと、フィルムが剥がれた
- プリントのインクはすべてフィルムに付着
- 土台の厚紙にはインクが全く残らなかった
- 剥がしたフィルムは、テカテカした光沢
- フィルムは控えめなホログラムの輝き
インクがフィルムと一緒に剥がれたことから、以下の可能性が考えられます。
1. フィルムに印刷してから貼り合わせる方法を採用
2. 紙に印刷後、フィルムでラミネート加工されていて、剥離時にインクがフィルムに転写された
どちらの工法なのかは、この実験だけでは断定できませんが、いずれにしても印刷層とフィルム層が強固に結合するような工法が使われているようです。
裏面も分離してみた
うら面もフィルムをはがすことができました。
- うら面のフィルム
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- 表面とは異なり、つや消しのような質感
- こちらも同様に、インクはフィルムに付着
トレーディングカードに使われる高度な加工技術
アイプリカードのようなゴージャスなカードには、さまざまな技術がつかわれています。
1. ホログラムラミネート加工
全面に虹色の輝きを与える技術。
透明なホログラムフィルムを貼り合わせることで、下のイラストを透かしながらキラキラ効果を実現。
2. 箔押し(ホットスタンピング)
金や銀の文字・装飾に使用。
高温の金属版で、極薄の金属箔を熱圧着する技術。

星4カードの豪華な金箔装飾はこの技術のたまもの。
3. 多層構造の秘密
今回の実験で明らかになったように、カードは複数の層から構成されています。
- カードの構成要素の例
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- 基材となる厚紙
- 印刷されたフィルム層
- ホログラム加工層
- 保護コーティング層
カード製造の舞台裏:複雑な工程
トレーディングカードが完成するまでには、以下のような精密な工程を経ています。
- デジタルデータの準備
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- タカラトミーアーツ提供のアートワークを基に、デザインデータを作成
- 大きな紙に複数枚のカードを効率的に配置する「多面付け」レイアウト
- 印刷工程
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- 高精細なオフセット印刷機を使用し、キャラクターなどのデザインを印刷
- 「フィルムへの直接印刷」の場合はこの段階で印刷を行う
- 特殊加工工程
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- カードに特別な視覚効果を与えるホログラムラミネート加工
- 金箔や銀箔を用いたホットスタンピング加工
- デザインがずれないよう寸分の狂いもない「見当合わせ」が重要
- 断裁・包装
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- 印刷されたシートを、個々のカードサイズに正確に断裁
- 最後に、レアリティに応じた封入率でカードをパック詰め
自由研究への展開アイデア
今回はフィルムを剥がしただけでしたが、さらに深い研究も可能だと思われます。
光の観察
- ホログラム観察のポイント
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- 角度による虹色の変化を記録: カードを傾ける角度によって、どのように虹色の輝きが変化するかを詳細に記録
- 光源(太陽光、LED、蛍光灯)での見え方の違い: 異なる光源の下でホログラムがどのように見えるか比較し、その違いを観察
構造の分析
- カード構造のさらなる研究例
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- 剥がしたフィルムの厚さを測定する
- 虫めがねを使用して微細構造を観察する
- 各層の役割を図解する
比較研究
- 比較研究の例
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- 星の数によるホログラム加工の違いについて
- 通常カードとダークアイプリカードの構造比較
- 他のトレーディングカードとの構造比較
一枚のカードに込められた技術と情熱
破損したカード一枚から始まった実験でしたが、そこから垣間見られたのは驚くべき技術の結晶でした。
子どもたちの「キラキラしてきれい!」という純粋な感動を生み出すために注がれています。
カード交換を楽しむ娘を見ながら、その一枚一枚に込められた産業技術の粋と、製造に携わる人々の情熱を感じずにはいられません。
おわりに
トレーディングカードは思った以上に大きな金額で取引されていて、お友達からいただいたカードの一部にも、価値のあるカードが含まれていました。
そこで、今回の実験では、星が2つのもので、複数枚おなじカードを持っていた上に、すでに破損していたものをつかいました。

お気に入りのカードや価値あるレアカードでの実験は避けましょう。
これからも娘と一緒に、カードコレクションを楽しみながら、その奥深い世界を探求していきたいと思います。
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