タネ1つの重さについて、考えたことがありますか?
小学校1年生の娘が、せいかつの時間に、小学校の校庭からタネを採取して、家に持ち帰ってきました。
0.01gまではかれる精密はかりを買ったばかりだったので、さっそく全部のタネをはかってみることに。
・アサガオのタネってみんな同じ重さなの?
・ヒマワリのタネ、こんなにちがうの?
ただタネの重さをはかるだけなのに、2時間があっという間にすぎていきました。
むすめとタネをはかり尽くした午後
小学校から持ち帰ったタネは全部で5種類。
アサガオ、オナモミ、フウセンカズラ、ヒマワリ、そしてマリーゴールド。

ぜんぶはかってみたい!
というむすめの言葉から、この小さな科学実験がはじまりました。
タネの重さには「個性」があった
最初に驚いたのは、同じタネでも重さがぜんぜんちがうこと。
とくにヒマワリのタネは0.02g、0.06g、0.09gと、いちばん重いものは軽いものの4倍以上。

かるいタネ、ちゃんと芽が出るのかな?

これが自然のおもしろいところだね。
アサガオのタネは「優等生」だった
そんななか、12個のアサガオのタネは、ほとんどが0.05〜0.07gのあいだにおさまっていました。

アサガオのタネ、みんな同じくらいの大きさだね。
これは植物が長い時間をかけて身につけた「品質管理」のしくみ。
安定したタネを作ることで、次の世代も確実に育つように工夫しているようです。
フウセンカズラの「見た目」と「重さ」の関係
つぎに、フウセンカズラのタネを、娘にえらんでもらって重さをはかってみました。

フウセンカズラも同じくらいの大きさになるんだね。

実は大きめのタネを選んだの。

それだと、正確なおもさを調べたことにならないね、、、
ということで、せっかくの娘の考えを尊重し、フウセンカズラを見た目で2つに分類。
すると、大きいタネは平均0.067g、小さいタネは平均0.052gと、30%程度のちがいがでました。

でも、ヒマワリほどの差は出ませんでした。
タネをはかることで学べる3つのこと
タネの重さをはかるという単純な作業には、じつは深い学びがかくれています。
数の概念、観察力、そして科学的な考え方まで、子どもの成長に大切な要素がいっぱい。
「平均」という考え方が自然に身につく

アサガオのタネ、みんな0.06gくらいだね。
これ、じつは平均の概念を理解しはじめている証拠なんです。
たくさんのデータを見ることで「だいたいこのくらい」という感覚が育ちます。
小学1年生でも、体験をとおして、難しい概念も自然に理解できるんだな、と感じました。
サンプル数の大切さがわかる
最初は、それぞれのタネを3つずつはかればいいかなと、我々は考えていました。
でも、ヒマワリのタネの重さがバラバラだったのを見て、もっとたくさんはからないと、タネの重さは分からないことに気づきました。

これこそ統計的な考え方の第一歩。
「たくさん調べる」ことの意味を、実感をもって理解できました。
記録することの楽しさを知る
ただ数字を書くだけでなく、タネの絵をかいたり、発見したことをメモしたり。
データを記録することが、思い出づくりにもなりました。
科学は楽しいものだと感じてくれたことが、親としていちばんうれしい収穫です。
実験と観察のデータ
年齢:7歳2ヶ月
季節/時期:9月下旬
所要時間:2時間
難易度:★☆☆
必要なもの:タネ、0.01g精密はかり、ピンセット、記録用ノート、タネを分ける小皿、そして根気
発展実験:タネの作戦のちがいを探る
タネの重さのばらつきには、ヒミツがかくされています。
タネの重さを測定してみることで、植物たちの生き残り戦略の違いが見えてきます。
ヒマワリの「数でチャレンジ」作戦を観察
ヒマワリのタネを花の位置ごとに分けて、重さを測ってみましょう。
また、外側の大きなタネ、中心の小さなタネ、それぞれ10個ずつ発芽実験をすると面白い発見があるかもしれません。
たとえば、外側は9個、中心のは3個だけ芽が出た!なんてことがありそうです。
でも、ヒマワリは数百個のタネを作るので、ぜんぶで見れば大成功。

数で勝負の作戦です。
アサガオの「少数精鋭」作戦を確かめる
均一な重さのアサガオのタネを10個まいてみると、ほとんどが元気に発芽するはず。
少ないタネに栄養をたっぷりあげて、確実に育つようにする作戦です。
さらに面白いのは、1つのさやに入っているタネの数を調べると、だいたい2〜4個と少なめで、一つの種で咲く花の数もしれています。

量より質の作戦ですね。
どっちの作戦が「正解」か考えてみる
公園や道ばたで、いろんな植物のタネを集めて「作戦」を予想してみましょう。
・タンポポの綿毛は数が多くて(ヒマワリ型)軽い(遠くへ飛ばす)
・どんぐりは数が少なくて(アサガオ型)重い。
「この植物はどっちの作戦かな?」と考えながら観察すると、植物の生き方が見えてきます。
正解はなくて、どちらも長い進化の中で選んだ「生き残りの知恵」だとわかります。

自然って本当によくできていますね。
さいごに
正直、私は最初「娘はどうせすぐ飽きるだろう」と思っていました。
でも、むすめの真剣な表情を見て、私も本気モードになりました。
途中、小さなタネをピンセットでつまむのに苦労したり、記録をまちがえて測り直したりしましたが、そんな失敗も含めて楽しい時間でした。
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