知る→作る→探すの3ステップでバリアフリーへの理解を深める
娘と一緒に、目が見えない方々の世界について考えました。
きっかけは公文の国語教材で出会ったヘレン・ケラーのお話です。
絵本で点字の歴史を学び、実際に点字をつくり、街中の点字をさがす旅に出かけました。
ヘレン・ケラーとの出会いと、素朴な疑問

娘が、公文の国語教材で、ヘレン・ケラーのお話を読みました。
目も耳も使えないヘレンのもとに、サリバン先生がやってくる場面で、ヘレンはサリバン先生が来ることを楽しみに待っていたと書かれていました。
娘から出た思いがけない疑問
「目も耳も使えないのに、サリバン先生が来ることをなぜヘレンは知っていたの?」
と、娘に質問されました。
確かに、見えない・聞こえない状態で「誰かが来る」ということをどう理解したのか、大人でもすぐには答えられません。
視聴覚の障害者のもつ感性とは
ヘレンは1903年に出版した自伝 『The Story of My Life』(わたしの生涯) の中で、サリバン先生が来る日のことをこう書いています。
私は玄関のポーチに立って待っていた。午後の日差しが顔に当たり、母の指が忙しく動くのを感じていた。何か大切なことが起ころうとしていると、私にはわかっていた。
この疑問をきっかけに、目や耳が使えない方がどのように情報を得ているのか、一緒に調べてみることにしました。
YouTubeで知ったヘレンの世界
ヘレン・ケラーとサリバン先生の映画が、これまでにいくつかつくられてきました。
そこで、まずは映画をYouTubeで見てみました。
食堂のシーンがこわかった。
最後のシーンは感動します。
映画のなかで、ヘレンは、足元の振動や匂い、相手の顔に手を当てて表情やうなずく仕草を感じ取るなどして、情報を得ていたことがわかりました。
また、ヘレンはいくつかのジェスチャーをつかって、自分の要望を伝えていました。
目や耳が使えなくても、いろんなことがわかるんだね。
ルイ・ブライユの発明した点字を学ぶ
目が見えない方が文字を読む手段として「点字」があります。
ヘレンは指から血がでるほど点字を読み、勉強しました。
その発明の経緯を絵本で娘と学びました。
点字のしくみは「6この点」を組み合わせること
ルイ・ブライユは視覚障害がありました。
パリの盲学校にいるときに、6つの点の組み合わせによる点字のしくみをつくりました。
「6この点」を組み合わせるメリット

6つの点を組み合わせて点字をつくると、人差し指1本だけで読めます。
また、たくさんのアルファベットや数字を1ページにおさめることができます。
点字器で点字を打ってみた
点字の仕組みを知ったら、実際に作ってみたくなるものです。
点字器を購入して、点字づくりに挑戦しました。
点字器で点字づくりに挑戦して発見したこと

点字器とは、紙をはさんで、先のとがっていない棒を押しこみ、きれいに並んだ点を打っていくための、定規のような道具です。
実際にやってみると、いくつかの発見がありました。
上手に押さないと紙に穴があく

まず、厚みにかかわらず、どうしても穴が開きます。
おおきく穴があくと、凸凹がわかりにくいかも。
また、何度も指でなぞると凹凸がつぶれてしまうため、厚みのあるしっかりした紙を使うことが重要だとわかりました。
特に、多くの方が触れたり、何度も読み返したりするような書籍は、頑丈な紙でつくる必要がありそうです。
裏から点字を打つ難しさ

最も苦戦したのは、紙の裏側から点を打つ必要があることです。
読むときは表から触るため、文字を左右反転させて、さらに右から左へ打っていかなければなりません。
頭がこんがらがる!
何度か遊び感覚で点字を打つうちに、娘はコツをつかんでいきました。
しかし、素人が点字を作るのは難しいものだということがわかりました。
立体ペンなどで点字が書けないか試した
点字器での難しさを感じた娘が「盛り上がるペンで書いたら簡単じゃない?」とひらめきました。
廃盤品「エスピエ」を入手してみた

調べてみると、サクラクレパスから「エスピエ」という立体的に描けるペンが発売されていたことがわかりました。
残念ながらすでに廃盤となっていましたが、市中に残っていた在庫品を見つけて購入してみました。
視覚障害者のみなさんはエスピエを重宝していたとのこと。
エスピエは乾くと立体的に盛り上がるペンです。
これを使って点字を書いてみると、表を見ながら点を打つことができるので、左右反転を考える必要がありません。
私のひらめきは大正解。
完全に乾くのに半日は必要だと思われますが、手軽に点字が作れる優れた文具でした。
エスピエの代替品としてペベオを試してみた

エスピエが廃盤のため、他の方法も試してみました。
布用絵の具の「ペベオ」は、ノズルからドットを布につけることができます。
しかし、同じ大きさの点を整然と並べるのは難しく、スピーディーに打つことができませんでした。
エスピエの代替品としてジェルネイルを試してみた
ジェルネイルを爪楊枝につけて点を打つ方法にも挑戦しました。
しかし、ジェルネイルは紙に染み込んでしまい、高さが出せません。
セロテープなどの上には点をうつことができましたが、何度か指をすべらせるととれてしまいます。
点字のための専用道具は高い
視覚障害者用筆記具として安久工機が開発した「触図筆ペン Lapico」というペンがあります。
Lapicoは、ペンの中で蜜蝋をとかして、立体的に文字をかくことができます。
本体価格は約10万円と、私たちが手を出すことはできませんでした。
蜜蝋をあたためるまで5分必要ですが、簡単に描けて、すぐに冷えて固まる性質は、点字をかく上でも重宝しそうです。
また、手作業ではなくて、点字の印刷を自動化するためには、3Dプリンターのような道具も活用していくべきでしょう。
街に出て点字を探してみた
点字のことを一度学ぶと、街なかの点字が目に留まるようになりました。
そこで、学んだことを活かして、地下鉄の移動中に、点字を探してみました。
思った以上にたくさんの点字がみつかった

まず娘がみつけたのは、手すりの指がちょうどあたる部分。
行き先の情報が点字であらわされていました。

案内板や券売機、ホームドア、トイレ。

探してみると、驚くほどたくさんの場所に点字がありました。
目で見れば読めるようになった。
目をつぶって読んでみたけれど…

実際に目をつぶって点字を触ってみました。
しかし、どこが点の始まりでどこが終わりなのか、指先だけではなかなか判別できません。
指だと全然よめない…
点字を読むには相当な訓練が必要なのだと、身をもって体験することができました。
まとめ
ヘレン・ケラーへの疑問から始まった今回の学びは、点字の仕組みを知り、実際に作り、街で探すという体験につながりました。
目が見えない方々は、私たちとは違う方法で情報を得て、生活していることを知りました。
そして、点字というすばらしい発明や、街中のバリアフリーの工夫によって、社会がより暮らしやすくなっていることを学びました。
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