新雪の密度測定と濾過で雪の秘密を探る!
まっ白な雪をコップにつめて溶かしたら、どれくらいの水になるでしょうか。
東京に雪が降った日、小学生の娘と一緒に「雪の体積実験」と「濾過実験」に挑戦しました。
今回は、ふわふわの新雪の正体に迫る、驚きの結果をレポートします。
冬の家庭内サイエンス教室
窓の外が雪でまっ白になった日、我が家では急遽「サイエンス教室」が開講しました。
いつもは単にはしゃいで終わるところですが、今回は少しだけ科学の目を持って、雪の正体に迫ってみることにしました。
きっかけは「雪、食べたい!」のひと言
きっかけは娘のひと言でした。
ふわふわして美味しそう、たべてみたいなあ。
私は幼い頃、雪は汚いから食べちゃダメと言われて、食べるのを断念したことがありました。
しかし、本当に雪ってきたないのでしょうか。
食べられるのか、たしかめよう。
言い伝えを検証するには、実験してみるのが一番です。
実験1:「雪が溶けたらどうなる?」予想と驚きの結果
実験で大事なのは、最初に「どうなると思う?」と予想を立てることです。
結果を見て「へぇ」で終わるのと、自分の予想と比べて「えっ、なんで!?」と驚くのとでは、学びの深さがまったく違います。
まずは「予想」を立てるところから
マンションのまわりの植栽の上につもった新雪を、透明でピンク色の計量カップいっぱいに採取しました。
家に入った時点で、かなり溶けてた。
ここで娘に、この雪が全部溶けたら、水はどれくらいの高さになると思うか聞きました。
コップの底から2cmくらいかな、と娘は答えました。
精密はかりで雪の重さを測定
カップにいっぱい入れた雪を、カップごと計量しました。
- 雪の重さの測定結果
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- 空のコップ: 40.22g
- 雪をいっぱい詰めたコップ: 58.09g
- 雪のみの重さ: 17.87g(計算値)
つまり、雪だけの重さは17.87gということになります。
数時間後、衝撃の結果
数時間後、完全に溶けたあとの水の深さはたったの約0.7cmほどになりました。
コップに山盛りだった雪が、底にうっすら水が溜まっているだけの状態になってしまったのです。
予想を大きく裏切る結果でした。
深掘り:雪の「密度」を計算してみよう
ここで少し科学的に掘り下げてみましょう。
密度とは、同じ体積あたりにどれくらいの重さがあるかを表す数字です。
水の密度は1.0 g/cm³、つまり1cm³の水は1gです。
一方、新雪の密度は一般的に0.05~0.15 g/cm³と言われています。
新雪:密度0.05〜0.15 g/cm³(ほぼ空気)
今回の実験結果から計算すると、雪17.87gが溶けて約17.87cm³の水になったわけですが、コップに入っていた雪の体積はその何倍もあったことになります。
つまり、新雪の体積のおよそ90%は「空気」だったのです。ふわふわの雪は、氷の結晶がスカスカに重なり合って空気を大量に抱え込んだ状態。
いわば「凍った空気の塊」と言っても過言ではありません。
しまり雪:密度0.25〜0.50 g/cm³(自重で圧縮)
ちなみに、雪が積もって時間が経つと「しまり雪」(密度0.25~0.50 g/cm³)とよばれる状態になります。
自重で圧縮され、密度がたかまった状態です。
ざらめ雪:密度0.3~0.5 g/cm³(さらに変化)
さらに時間がたつと、「ざらめ雪」(密度0.3~0.5 g/cm³)へと変化していきます。
この圧縮された雪が、新雪の何倍も重いから、雪国で屋根の雪下ろしが大変になるのです。
実験2:真っ白な雪は本当にきれい? 濾過実験で検証
次に挑戦したのは、バケツいっぱいの雪を使った濾過実験です。
外構の植栽の上など「なるべくきれいな場所」の雪を選んで集め、室内で溶かしました。
コーヒーフィルターで雪解け水を濾す
溶かしてみると、バケツ山盛りの雪がこれだけの水に。
ここでも体積の激減を実感できました。
この雪解け水を、コーヒーサーバーにコーヒーフィルターをセットして濾過します。
あふれないように、ゆっくりと注いでいきました。
フィルターに残ったものの正体
濾過が終わったフィルターをかわかして、広げてみると……
つもった雪はきれいに見えたのに、思いのほか多くの異物が姿をあらわしました。
よく見ると、埃のような繊維や、目に見える小さな黒っぽい粒子が、点々と付着しています。
これには私も驚きました。
深掘り:雪はそもそも汚れている
黒っぽい粒子が見られたことは、雪ができる仕組みそのものが深く関わっています。
雪の結晶は、空中で水蒸気が勝手に凍ってできるわけではありません。
雪の結晶ができるためには氷晶核が必要
結晶が生まれるには「氷晶核(ひょうしょうかく)」と呼ばれる小さな固体の粒子が必要です。
- 雪の核(氷晶核)となる物質
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- 土壌由来: 粘土鉱物や黄砂の微粒子
- 火山由来: 火山噴火による火山灰
- 生物由来: 花粉やバクテリア
つまり、雪の結晶一つひとつの中心には、もともと微小な「汚れ」が入っているのです。
雪は降ってくる途中で空を掃除する
さらに、雪の結晶が空から地上に降ってくる途中で、大気中に漂っているさまざまな浮遊物質をからめ取っていきます。
気象学ではこの作用をウォッシュアウトとよびます。
- 雪による都市部のウォッシュアウト効果
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- 排気ガスの微粒子
- 繊維くず
- PM2.5など
つまり、雪は生まれた瞬間から異物を内包しており、さらに降ってくる途中で空気中のゴミを集めてくる、空のそうじ屋さんなのです。
雪が降った後に空気が澄んで感じるのも、この効果が一因かもしれません。
次の日の夜は星がきれいに見えた。
「雪は食べちゃダメ」が証明されてしまった
フィルターに残った異物を目の当たりにして、娘は顔をしかめました。
……もう雪は食べたいって思えない。
でも、雪のおかげで空気がきれいになるね。
汚いからダメ、で終わらせるのではなく、「なぜ汚いのか」「その汚れにはどんな意味があるのか」まで掘り下げると、自然現象への見方がぐっと変わるのだなと感じました。















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